2011 Fiscal Year Annual Research Report
ベクトル中間子核内質量分布の高統計精密測定によるハドロン質量起源の研究
Project/Area Number |
10J08082
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡辺 陽介 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ハドロン / 質量の起源 / J-PARC / PHENIX / GEM / HBD / 国際研究者交流 / アメリカ:イスラエル |
Research Abstract |
当該研究者はJ-PARC E16実験に従事する。J-PARC E16実験は、過去の実験より統計を向上することによって、中間子の核内質量分布からハドロン質量の起源を解明することを目指している。この実験の遂行には、二つの新しいタイプの検出器を開発する必要がある。GEMトラッカーとHadron Blind Detector(HBD)である。研究実施計画では、これら2つの検出器の開発を平行して進めていく予定であったが、結果として多くの時間をHBDに費やした。 当該研究員はアメリカのPHENIX実験のデータを用いたHBDの性能評価を行った。HBDはアメリカのPHENIX実験のアップグレードとして開発された検出器であり、他の実験で使われた例はない。そこでE16実験での最終デザインを決めるにあたってPHENIX実験のデータからその性能を導きだすことが非常に重要である。平成22年度にHBDの解析アルゴリズムの開発をおこなったので、本年度はそれを用いた性能評価を行った。まずは、シミュレーションを用いて、運動量依存性、衝突中心度依存性などを調べた。運動量が低い領域や中心衝突では悪化するものの、十分な性能が得られた。次にデータのキャリブレーションを行った。増幅率や量子効率の時間依存性、モジュール依存性などを詳細に調べ、その補正を行った。いずれも20%以下の依存性が見られた。そして現在は、phi中間子の質量領域での性能をデータから評価している。この質量領域は、シグナルバックグラウンド比が非常に悪く、バックグラウンドを信頼できる形で評価する必要がある。その手法を開発中である。昨年度から引き続き、PHENIXのHBDを開発したワイツマン研究所と毎週ミーティングで議論しながら研究を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該研究員はJ-PARC E16実験にむけて検出器の開発を行っており、予定より少しHBDに時間を割いたものの、おおむね予定通りに進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
まずHBDに関しては、平成24年度中にPHENIX実験での性能評価を完了し、その経験をいかして、最終デザインを決定および作成しテストを行う。まだGEMトラッカーに関しても、同様にデザインの決定、作成、テストを行う。
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