2010 Fiscal Year Annual Research Report
マルチバンド画像の可視成分を考慮した可逆・非可逆統合型符号化の研究
Project/Area Number |
10J08087
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
篠田 一馬 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 画像符号化 / マルチスペクトル画像 / ハイパースペクトル画像 / 色再現 / 植生解析 / JPEG2000 |
Research Abstract |
遠隔医療やデジタルアーカイブにおける忠実な色再現、顕微鏡画像、衛星からの地球観測など、各種の応用領域において今後の発展が期待されるマルチスペクトル画像に関して、応用システムの利便性を考慮した圧縮符号化方式を提案し、符号化アルゴリズムの考案および実装を行った。本方式は、符号化対象のマルチバンド画像からRGB画像データを算出した後、符号化されたRGBデータを一旦復号し、オリジナルのマルチバンドデータを再構成する。オリジナルデータと再構成されたデータの差分情報を符号化して伝送することで、先のRGBデータと併せて可逆符号化を構成できる。可逆を前提としながらも、符号量の調整に応じて、解像度・RGB画像の画質・光のスペクトル歪みが比例して改善されるような、スケーラビリティを持つ符号化方式を実装することで、非可逆復号時にスペクトルの符号量に対して歪み改善特性が単調増加する方式を実現できた。この特性により、遠隔医療等では、限られた伝送帯域内で従来通りの迅速なRGB画像表示が行えるだけでなく、付加情報の伝送によりスペクトルの歪みを抑えたまま正確な色再現やスペクトル解析を行える可能性を示せた。さらに、本方式をリモートセンシングに応用することで、国際標準方式であるJPEG2000よりも迅速な植生解析を行えるデータを提供しつつ、付加情報によりJPEG2000と同程度の品質を持つ高精度なスペクトルを提供できることを示した。本方式のRGB画像品質とスペクトル品質の符号化性能は、撮影対象の画像コンテンツやカメラ特性の依存が少なく、広く分光画像データに適用できる可能性がある。
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