2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10J08213
|
Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
尾崎 友厚 大阪府立大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 誘電体 / 非鉛誘電体 / 透過型電子顕微鏡 / 磁性誘電体 |
Research Abstract |
本研究では、ナノスケールでの相分離構造(多重秩序構造)を制御することにより、マルチフェロイック物質がもつ磁気誘電相関現象とリラクサー誘電体がもつ優れた誘電特性を融合させ、新たな非鉛系機能性材料を創製することを目的としている。今年度は非鉛系機能性材料として反強磁性強誘電体BiFeO3(BFO)に着目し、(1-x)BiFeO3-xBaTiO3、(1-x)BiFeO3-xSrTiO3等の混晶ペロブスカイトを作製し、粉末X線回折法や、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いた微細構造解析を行うことで、結晶構造と置換組成(x)との相関を明らかにし、モルフォトロピック相境界(MPB)の存在の有無およびMPB組成の決定を行うとともに、誘電特性や圧電特性などの物理的特性の評価を行った。以下に研究成果を示す。 ・(Bi_<0.5>K_<0.5>)TiO_3-BiFeO_3系においては、構造解析と圧電特性の測定により、圧電特性の向上を示すMPBが存在することを明らかにした。さらに、TEMを用いた微細構造解析によって、数十ナノメートルのナノドメイン構造が形成されていることを見出した。このようなドメインサイズの微細化が、圧電特性を向上させる起因の一つであることを提案した。(Jpn .J. Appl. Phys., 49 (09MC05)2010) ・(1-x)BiFeO3-xBaTiO3系においては、ローレンツTEMを用いた磁気ドメイン観察により、ナノスケールでの相分離構造の発現によって、擬立方晶構造相での強誘電ナノドメインと磁気ナノドメインの共存が実現することを明らかにした。 ・(1-x)BiFeO3-xBaTiO3系において、x=0.40組成で圧電定数d_<33>が154まで向上した。これは、強誘電ドメインのナノサイズ化に起因することを明らかにした。 ・(1-x)BiFeO3-xSrTiO3において、x=0.20、0.25、0.30、0.35、0.40を作製し、x>0.20で強磁性成分が生じ、磁性誘電体となることを見出した。また、x=0.3、0.4では線形成の良い圧電特性を示すことがわかった。
|