2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10J08247
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
MADINABEITIA Ione 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 寄生虫 / 地球温暖化 / タイ科 / 養殖漁業 / カイアシ類 |
Research Abstract |
地球温暖化は新たな外来生物の侵入に影響を及ぼす可能性がある。日本でも、地球温暖化に伴う海水温の上昇により、台湾や東南アジアなどの熱帯・亜熱帯に生息する魚類とともに寄生虫が侵入することが危惧されている。寄生虫の中には海面生簀で容易に感染を拡大し、養殖魚の商品価値を損ねる種がある為、外来寄生虫が侵入して分布域を拡大すれば、漁業や養殖業に大きな影響を与える可能性がある。こうした背景から、本研究は、水産上重要なタイ科魚類を日本のみならずオーストラリアや台湾といった亜熱帯・熱帯水域から得て寄生虫相を調べると共に、その多様性を解析し、日本における天然・養殖漁業に悪影響を与える寄生虫を推測することを目的とした。一般的な解剖手法と二重網法を用いて外部寄生虫を採集した結果、タイ科魚類合計775尾からカイアシ類7種、ヒル類1種、合計8種の未記載種を得たほか、様々な分類群に位置する58種の寄生虫を得た。この内、数種の寄生虫については、その寄生様式や摂餌様式からタイ科魚類に対して病害性があると考えられた。沖縄県産ミナミクロダイにはウオジラミ類のCaligus epidemicusの寄生が認められた。本種は、オーストラリア・台湾・フィリピンにおいて天然・養殖魚の双方に寄生する病害性の高い種であり、日本のタイ科魚類養殖で大きな脅威となり得る。本種は人為的な持ち込みもしくは宿主の北上によって沖縄に侵入したと考えられる。また、オーストラリアで記載されたウオジラミ類のCaligus sclerotinosusが太平洋沿岸や瀬戸内海における養殖マダイに寄生するのが観察された。これは、寄生を受けたゴウシュウマダイ幼魚がニュージーランドから日本に持ち込まれたことによると考えられる。単生類のNeobenedenia girellaeは沖縄産養殖マダイに寄生が認められ、失鱗や失目、体衰や鰭からの出血など疾病の原因となることが示唆された。
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Research Products
(3 results)