2010 Fiscal Year Annual Research Report
加工Si基板上への非極性面GaNの選択MOVPE成長に関する研究
Project/Area Number |
10J08362
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
谷川 智之 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 窒化物半導体 / MOVPE / 選択成長 / Si基板 / 半極性・非極性 |
Research Abstract |
Si基板上LDの実現に向けて、高品質GaNストライプ上へのInGaN/GaN多重量子井戸の作製を試みた。成長後の結晶は表面マイグレーションに起因した膜厚揺らぎが見られた。そこで次に成長条件を検討し、膜厚分布の傾向を調べた。すると成長温度を低くする、すなわちマイグレーションを抑えるように成長を促すことで膜庫揺らぎのない量子井戸構造が得られた(Fig.1)。さらに膜厚がほとんど均一な条件では発光分布も面内で揺らぎはほとんど見られず、均一性の優れた量子井戸の作製に成功した。 次に導波路構造を作製し断面出射PL測定を行ったところ、発光波長425nm程度のサンプルにおいて励起強度10MW/cm^2程度からスペクトルの狭窄化、発光強度の非線形な立ち上がりがみられた(Fig.2)。ゲイン特性は250cm^<-1>程度で、LD実現の可能性を示した。しかしながらより長波長の発光ピークを持つ構造を作製するとこれらの誘導放出光は確認されなかった。PL励起強度依存性からIn組成の異なるサンプルの内部量子効率を見積もった。キャリア密度1x10^<18>cm^<-3>において発光波長425nmでは95%程度と優れた値を示したが、長波長になるにつれて内部量子効率の低下がみられた。断面TEM観察より、量子井戸中のIn組成が増大するにつれて、格子不整合から発生するミスフィット転位を起源とした積層欠陥が発生しており発光特性劣化の起因であると推測される。より長波長の発光素子における高効率化には格子不整合の回避が必要不可欠であると言える。 格子不整合の課題を解決するには高品質なInGaN結晶が必要となるが現在のところ良質な結晶は得られていない。そこで本研究では半極性GaN上にInGaN厚膜の作製を試みた。得られたサンプルは格子緩和による結晶性の劣化が見られたものの、平坦性は10nm以下と従来のc面と比べて優れていることが分かった。今後はInGaNの高品質化を狙いながらLD構造を作製し、電流注入による発振を目指す。
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