2011 Fiscal Year Annual Research Report
ヘパリン結合性上皮成長因子(HB-EGF)の統合失調症発症への関与
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10J08404
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Research Institution | Gifu Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
大八木 篤 岐阜薬科大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 統合失調症 / HB-EGF / 大脳皮質 / 長期増強 |
Research Abstract |
ヘパリン結合性上皮成長因子(heparin-binding epidermal growth factor-like growth factor : HB-EGF)はEGFファミリーの主要な増殖因子の一つである。HB-EGFは海馬や大脳皮質、小脳など中枢神経系で高い発現を示すことから、神経細胞のネットワーク回路の構築や高次脳機能への関与が示唆される。そこで、前脳選択的にHB-EGF欠損させたマウスを作製し、中枢神経系の高次脳機能におけるHB-EGFの役割について検討した。 これまでの研究で、前脳選択的HB-EGF欠損マウスはプレパルスインヒビションの低下などの諸種の行動変化、脳内モノアミン含量の変化および大脳皮質のスパイン密度の減少を示した。また、HB-EGF欠損マウスはモーリス水迷路試験および受動回避試験における記憶力の低下や海馬CA1野における長期増強(LTP)が低下することが分かった。また、HB-EGF欠損マウスの海馬ではCa2+/カルモジュリン依存性キナーゼII(CaMKII)およびグルタミン酸受容体GluR1のリン酸化が低下していた。 一方、HB-EGF欠損マウスは野生型マウスと比べて脳虚血障害の悪化や、脳虚血によって誘発される脳室下帯(SVZ)における神経幹細胞の増殖が低下していた。 以上のことから、HB-EGFが中枢神経系において記憶や情動などの高次脳機能に関与することが初めて示された。このことから、統合失調症や他の神経疾患に対してHB-EGFが新たな治療ターゲットとなりうることが示唆された。
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Research Products
(8 results)