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2012 Fiscal Year Annual Research Report

マニラにおける「スラム」空間の動態的研究―移動・世帯・住民組織のジェンダー分析

Research Project

Project/Area Number 10J08447
Research InstitutionOsaka Prefecture University

Principal Investigator

太田 麻希子  大阪府立大学, 人間社会学部, 特別研究員(PD)

Keywords都市 / フィリピン / ジェンダー / 労働 / 世帯
Research Abstract

今年度は主に1990年代以降現在までに生じたマニラ都市圏の拡大と再編が女性労働にもたらした影響について、第一に理論、第二に統計、第三にかねてより続けてきた特定のスクオッター集落を対象とした調査研究を通じて考察した。
第一に理論面では東南アジア都市論とフェミニスト経済学の文献を検討し、新国際分業下の女性労働と都市空間の変容を関連させながら枠組みの構築を行った。国際ジェンダー学会「開発とジェンダー」分科会ではフェミニスト経済学における貿易理論に関する論文の文献報告を行ない、これを近年のマニラにおける製造業女性労働の動向と関連させながら議論した。
第二に昨年度より引き続き産業・労働等に関連した統計資料の収集と検討にあたり、首都圏とその周辺地域の産業別・職業別の就労構造や空間構造の変化、人口動向等を把握した。これを踏まえ近年のマニラを分析する際の大枠として首都圏外への人口流出に代表される「郊外化」という空間軸、さらに首都圏の脱工業化・サービス経済化という時間軸を立てた。
第三に、首都圏の漁業・港湾地域に立地する調査対象のスクオッター集落の性格を把握するため、フィリピンの漁業・漁村に関する文献研究を実施した。また、同集落の20~60代までの女性の向都移動と都市内移動、就業経験に関する既存のデータを世代ごとに検討し、「地方の農漁村から労働力として動員された、単身での都市移住者が多い世代」と「都市の在来労働力となる世代」に大きく分類、両者の経験をマニラ都市圏における「郊外化」と「脱工業化/サービス経済化」という先の軸に沿って考察した。次に、昨年度までに集めたデータをもとに調査地のスクオッター集落の世帯の類型化作業を行った。さらに同集落の定点観測を実施し、前回の調査からの状況変化についてインフォーマントに聞き取りを行った。
なお、以上の研究の途中経過については国際ジェンダー学会の全国大会等で報告している。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

国際/国内労働移動について政策面に注目し、国家と移動、ジェンダーの関係について検討する計画だったが、統計資料及びフィールド調査による一次データの分析に労力と時間を割いたため十分な調査研究をすることができなかった。こうした中でも、国家とジェンダーに関する文献の講読を目的とした自主研究会に参加し、今後の政策面における研究の方向性についての理論的知見を得ることができたのは有意義であった。

Strategy for Future Research Activity

これまでの研究をまとめた雑誌投稿論文の執筆を急ぎたい。今後の方針としては、近年の産業構造の変動が首都圏内の地域のジェンダー分業にどのようなインパクトをもたらしたのか、調査集落を対象に検証していくことが必要だろう。国際労働移動については、このような国内の産業動向やそのジェンダー化、実質所得の変化等と関連させながら議論を進めていくことが妥当と考える。国際労働移動だけではなく国内での選択肢も視野に入れつつ、マクロな経済的過程の中でどのように住民が世帯戦略を展開しているのかを明らかにし、これまでの調査結果と比較・検討したい。その際にはこれまでに明らかにした集落の位置する地域のコンテクストと関連させていく。また、前年度の反省点を踏まえ、海外出稼ぎや国内移動等の政策面からの分析も深めていきたい。

  • Research Products

    (1 results)

All 2012

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] 女性労働の可視化と再不可視化-マニラ首都圏の港湾地域スラムにおける女性の移住過程2012

    • Author(s)
      太田麻希子
    • Organizer
      国際ジェンダー学会
    • Place of Presentation
      立教大学
    • Year and Date
      2012-09-01

URL: 

Published: 2014-07-16  

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