2010 Fiscal Year Annual Research Report
光照射走査トンネル顕微鏡による半導体ナノ構造材料の特性評価
Project/Area Number |
10J08541
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
勝井 秀一 東京大学, 生産技術研究所, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 走査トンネル顕微鏡 / ナノ材料半導体 / 光吸収特性評価 / 高空間分解能観測 / 二波長光照射 / フォトキャリア |
Research Abstract |
本研究は、光照射下で走査トンネル顕微鏡(STM)観測を行い、ナノ構造材料の光吸収特性を評価すると共に構造内で生じる現象を明確にすることを目的としております。ナノ構造材料の試料としてGaAs基板上に成長させたInAs細線構造を用いて、量子閉じ込め効果によるナノ構造特有の特性を観測すること、また1次元構造の観測を通して形状異方性が特性に与える影響を明確にすることを期待して測定を行いました。特性評価の手法として以前提案した二波長光照射STMを用いまして、観測される光誘起電流(PIC)信号のフォトンエネルギー依存性、及び直線偏光依存性等を測定致しました。 フォトンエネルギー依存性の観測においては、用いた細線の幅が充分には細くないことから2次元構造である量子井戸的な光吸収特性を示すようなPIC信号が得られました。これは個々の細線に対して2次元構造から1次元構造への特性の移り変わりと具体的な離散準位等を観測できることを示すことが期待される結果であると考えております。更には今後0次元構造材料に観測対象を移して評価を行っていくことが有意であることを示す結果であるとも考えております。直線偏光依存性の測定においては、1次元細線構造では横方向に働く量子閉じ込め効果により横方向の直線偏光の光のみが吸収されなくなる事を、細線幅の太い2次元的に働く細線と比較しながら確証致しました。また、1本の細線をとってきても信号が観測される領域があったことから、この手法により細線内部においても細線幅の違い等に起因するような特性の違いを確認し、高空間分解の有するSTMの有用性を実証致しました。本研究の成果は国内外の学会において発表させていただきました。 また、STMを基にしたスピン観測への応用に向けて、必要な光学機器の購入や本・論文等を中心に情報収集を行いました。
|