2010 Fiscal Year Annual Research Report
大規模行列計算のための階層的自動チューニング手法の開発
Project/Area Number |
10J08599
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
深谷 猛 名古屋大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 行列計算アルゴリズム / 高性能計算 / 自動チューニング |
Research Abstract |
近年の計算機は高性能化とともに複雑化・多様化の一途をたどっている.そのため,計算機の性能を十分に引き出すためには,計算機の特性等に応じてソフトウェアをチューニングすることが必要不可欠となっている.そこで,人手によるチューニングではなく,計算機自身が機械的にチューニングを行う自動チューニングについての研究が近年注目されている。本研究では,科学技術計算の基盤の一つである行列計算を対象として,自動チューニングの研究を行っている.特に本年度は,基本的な行列計算の一種であるQR分解アルゴリズムに注目して,そのブロック化の方法に関する自動チューニングの手法を構築し,性能評価を行った.今回構築した手法では,まず,二分木を使ってブロック分割方法を表現することを考えた.この手法を用いることで,再帰的なブロック化までを含めた多様な分割方法を系統的に処理することが可能となった.次に,二分木の再帰構造に着目し,動的計画法をベースとしたアルゴリズムにより,与えられた条件下で最適な分割方法に対応する二分木を効率的に決定する仕組みを構築した.性能評価を行った結果,提案手法の内部で用いる性能予測モデルが比較的正確な場合は,従来から使われている分割方法と同等以上の性能を持つ分割方法を機械的に決定できることが確認できた.しかし,性能予測モデルの精度が不十分な場合は,提案手法のチューニング結果も同様に不十分なものになってしまうことが明らかになった.そこで,性能予測モデルの精度がチューニングに与える影響について詳しい調査を開始するとともに,提案した手法に適した性能予測の方法の開発に向けた検討を始めた.次年度は,本年度の研究で得られた知見を基にして,より大規模な行列計算を対象として,実用的な自動チューニング手法を開発することを目標とする.
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Research Products
(4 results)