2010 Fiscal Year Annual Research Report
ペリ環状分解反応を用いた新規ポルフィリン色素の探索とその電子的性質の考察
Project/Area Number |
10J08603
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
魚山 大樹 愛媛大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 逆Diels-Alder反応 / ポルフィリン / ポルフィリンオリゴマー / TD-DFT計算 / 前駆体法 |
Research Abstract |
高共役型オリゴポルフィリンは非線形光学材料や分子デバイスなどへの応用が期待されている。しかし、それらの化合物は有機溶媒に対する溶解性の問題などから合成が困難である。本研究では、溶解性に由来する諸問題をBCOD骨格のペリ環分解反応の1つである逆Diels-Alder反応を利用することで克服し、高共役型オリゴポルフィリンの合成を行う。さらに、高共役型オリゴポルフィリンの物性を測定し、理論計算を用いて電子状態を詳細に考察することで新しい機能性色素を作成するための指針をつくることを目的とした。 (1)ポルフィリンピロールを用いてBCOD架橋ポルフィリン2量体及び5量体を合成し、逆Diels-Alder反応を用いて対応するベンゼン架橋ポルフィリンへと変換した。ベンゼン架橋ポルフィリンは、近赤外領域に強烈な吸収を示した。TD-DFT計算よりUV-Visスペクトルと電子状態の関係を明らかにし、論文として発表した。 (2)ポルフィリンピロールとジアルキルピロールのスクランブリング反応を利用してBCOD架橋ポルフィリン2量体、L型3量体、I型3量体、T型4量体、及びX型5量体を一度に合成することに成功した。現在行なっているL型3量体及びI型3量体の分離が出来次第、BCOD架橋ポルフィリンの逆Diels-Alder反応を行い、ベンゼン架橋ポルフィリンへと変換し、発光特性及び2光子吸収特性を系統的に考察する。 (3)アントラセン架橋ポルフィリン2量体の前駆体であるジエタノアントラセン架橋ポルフィリン2量体の合成を行なった。この前駆体は、C60及びC70に対して高い錯形成乗数を示した。本成果については現在論文にまとめているところである。今後は、この前駆体の逆Diels-Alder反応を行いアントラセン架橋ポルフィリン2量体へと変換し、測定実験及び理論計算を用いて電子状態を明らかにする。
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Research Products
(12 results)
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[Journal Article] Thermal Behavior of Bicyclo [2.2.2] odadiene-Installed Precursors for 2H-Anthra [2, 3-c] pyrroles and Anthra [2, 3-c] thiophene2010
Author(s)
H.Uoyama, C.Chenxin, T.Tahara, Y.Shimizu, H.Hasegawa, Y.Hanasaki, H.Yamada, T.Okujima, H.Uno
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Journal Title
Heterocycles
Volume: 80
Pages: 1187-1196
Peer Reviewed
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[Journal Article] Highly Pure Synthesis, Spectral Assignments, and Two-Photon Properties of Cruciform Porphyrin Pentamers Fused with Benzene Units2010
Author(s)
H.Uoyama, K.S.Kim, K.Kuroki, J.-Y.Shin, T.Nagata, T.Okujima, H.Yamada, N.Ono, D.Kim, H.Uno
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Journal Title
Chemistry -A European Journal
Volume: 16
Pages: 4063-4074
Peer Reviewed
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