2010 Fiscal Year Annual Research Report
π共役系を有する大環状化合物の新規精密合成法の開拓
Project/Area Number |
10J08771
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
井手 智仁 東京工業大学, 資源化学研究所, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 大環状化合物 / 共有結合性テンプレート / π共役系 |
Research Abstract |
本研究は,大環状化合物の新しい精密合成法として,それ自身がテンプレートとなるような大環状化合物を設計・合成し,それを用いて順次環サイズの大きい大環状化合物を合成する方法の確立を最終目標としている.本年度は,計算化学を用いた共有結合性テンプレートの精密設計の実証と大環状テンプレートの合成を行った.テンプレートにはヘキサキス(4-カルボキシフェニル)ベンゼンを用い,アルキル鎖を介して2,6-ビス(4-エチニルフェニル)フェノールを主骨格とした大環状化合物部品を取り付けた.このとき,6つの反応点を1度に反応させる必要があるが,Williamsonエーテル合成を用いることで,高効率なテンプレートへの部品取り付けを達成した(収率88%),また,得られた分子の閉環反応では,分子内に12個あるアセチレンを,分子内でカップリングさせて6個のブタジインを形成させる必要があり,副反応が起こり難く,収率よくする進行する反応を選択する必要がある.そこで大過剰量の銅塩を用いたGlaserカップリングを,分子間反応を抑制するために擬希釈条件下で行った.その結果,収率18%で大環状化合物を得ることに成功した,この収率は大環状化合物を一段階で形成させた場合としては著しく高い値である.共有結合性テンプレートを用いる際に課題となる多点での反応は,反応や条件を適切に選択することにより効率よく進行することが確認できた.また,計算化学を用いた分子の精密設計も有効であることが実証された.次年度の目標である大環状分子自身をテンプレートとした大環状分子合成の確立にむけて基礎となる結果が得られたと考えられる.
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Research Products
(2 results)