2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10J08824
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
藤田 智史 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | シロイヌナズナ / 微小管 / リン酸化 / 微小管不安定化 / シグナル伝達 / 細胞生物学 |
Research Abstract |
植物において、微小管は細胞の形の決定や増殖といった細胞の基本的性質に重要な役割を果たす。そのため、微小管ネットワークの形成・維持機構を明らかにすることは基本的な形作りや環境応答など、植物の生存戦略を理解する上で重要である。本研究室では、特に微小管ネットワークの維持機構を明らかにするため、微小管脱重合剤propyzamideに高感受性を示す変異体であるphs1-1 (propyzamide hypersensitive 1)を単離した(Naoi and Hashimoto. 2004)。本研究はPHS1と微小管の関係を生化学的・細胞生物学的手法により明らかにすることが目的である。今年度は、1)PHS1がphosphatase domainだけでなく、自己リン酸化活性をもったkinase domainも持つこと、2)kinase domainは間期微小管を不安定化し、この効果にはkinase活性が必要であること、3)phosphatase domainはkinase domainの効果を抑えること、を明らかにした。これらの結果からPHS1は微小管を不安定化する活性を有するが、通常その活性は細胞内では抑制されていることが示唆された。これまでに、細胞全体で微小管を不安定化する分子機構・生理的意義については知られていない。今後は、どのような状況においてPHS1が微小管を不安定化する活性を発揮するのか、さらにその時の分子的な調節機構およびPHS1の下流分子を明らかにする。本研究により、間期微小管ネットワークの維持の意義および分子機構に関するさらなる研究を進める大きなきっかけが得られた。
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