2011 Fiscal Year Annual Research Report
30ミクロン帯撮像観測による大質量星終末期におけるダスト形成量の測定
Project/Area Number |
10J08881
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中村 友彦 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 中間赤外線 / 30ミクロン帯 / η Carinae / LBV / 星周ダスト / 加重平均法 |
Research Abstract |
代表的なLuminous Blue Variables(LBV)であるηCarinaeの星周ダストの空間分布について、miniTAO/MAX38を用いて観測したデータを用いて定量的な評価を行った。ηCarinae Homunculus Nebulaのトーラスには0.09太陽質量のダストが含まれており、これはHomunculus Nebulaに存在する全ダスト質量(0.12太陽質量)の約80%に相当することが分かった。また、双極ローブの内部に0.012太陽質量のダストが存在することも分かった。ダスト形成がgiant eruptionの起きた1843年から一定の割合で起きていたと仮定すると、ダスト形成率は7×10^(-5)太陽質量/年と推定される。これは典型的なWolf-Rayet連星系でのダスト形成率と比べても非常に大きな値である。このことから、ηCarinaeでは間欠的な質量放出現象であるgiant eruptionのみならず、連星系による継続的なダスト形成が星周ダスト形成に大きな役割を担っていることが分かった。この他にも、MAX38で観測したLuminous Blue Variables(LBV)3天体についても低温ダストの分布を調べた。その結果、この3天体では200K以上の高温のダストと200K未満の低温のダストの空間的な広がりに大きな違いが見られなかった。よって、これらのLBV天体では短期間で形成されたものが主成分であると考えられる。 前年度に開発した画像解析手法についても定量的・科学的な考察を行い、加重平均法として手法を確立した。この手法は一般の中間赤外線観測装置で取得された画像も適用可能であり、チョッピング観測を行わなくても大気ムラを含まない画像を生成できるだけでなく、場合によっては観測効率を向上することが可能である点でも非常に重要な手法である。
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