2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10J08997
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
野崎 隆之 東京工業大学, 大学院・理工学研究科(工学系), 特別研究員(PD)
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Keywords | 多元LDPC符号 / 確率伝搬(BP)復号法 / エラーフロア領域 / 閾値 / 多元クラスタLDPC符号 / 重み分布 / ウォータフォール領域 |
Research Abstract |
多元低密度パリティ検査(多元LDPC)符号は誤り訂正符号の一つであり,確率伝搬(BP)復号法によって効率的に復号できる.符号長が有限長であるLDPC符号のBP復号誤り率は通信路パラメタに対して復号誤り率が急峻に変化するウォータフォール領域となだらかに変化するエラーフロア領域に分けられる.本研究の目的は,BP復号法を用いた場合の有限長LDPC符号の復号誤り率を解析し,復号誤り率の低い符号を構成することである. 今年度は(1)「多元LDPC符号に対するエラーフロア領域における誤り訂正能力の高い復号アルゴリズムの開発」および(2)「符号長が十分長いときの多元LDPC符号の復号誤り率の解析」ならびに(3)「多元クラスタLDPC符号に対する重み分布の導出」に関する研究を行った. (1)の研究では,エラーフロア領域における誤りの原因であるタナーグラフのサイクル構造に対して,効率よく復号を行うアルゴリズムを提案することによって,BP復号法よりも高い誤り訂正能力を有する復号アルゴリズムを提案した. (2)の研究では,符号長が十分大きいときの解析ならびに符号長が有限のときのウォータフォール領域の解析に必要な通信路パラメタの閾値を導出することに成功している.(2)の研究で開発された解析手法は符号長が有限の多元五DPC符号の解析に対しても有用であることが期待されている. (3)の研究では,高い符号化率において良い復号性能を有している多元クラスタLDPC符号に対して符号語重み分布の導出を行った.導出した重み分布をもとに,小さな重みの符号語が符号長に対して指数関数的に減少する条件を求めた。小さな重みの符号語は復号性能を劣化させることが知られているので,(3)の研究の解析結果は復号性能のよい符号を構成する上で重要な指針を与えることが出来た.
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