2011 Fiscal Year Annual Research Report
量子ドット/超伝導接合におけるアンドレーエフ束縛状態の観測と電子相関現象の研究
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10J09090
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金井 康 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 自己形成InAsドット / InSbナノワイヤー / 超伝導 / スピン軌道相互作用 / マヨラナ粒子 / ジョセフソン接合 |
Research Abstract |
前年度においてすでに研究計画の内容のほとんどを達成できたので、当該年度ではこれまでの成果をまとめて学会及び論文として発表することと、研究計画には書かなかった近年物性物理の分野において理論的に存在が予測されたマヨラナ粒子の検出に取り組んだ。我々のグループではすでにInSbナノワイヤーの超伝導輸送で成果を上げているスウェーデンのルンド大学と提携してInSbナノワイヤー超伝導接合系に着目した。私自身がスウェーデンに直接赴き、3か月間InSbナノワイヤーNb接合の作製に取り組んだ。まず、我々はNbの細線を作製しが4Kにおいて電気伝導度を測定することで、Nb細線が超伝導体として動作することの確認を行った。次にNb、InSbナノワイヤー接合を作製し、希釈冷凍機で電気伝導度の測定を行った。その結果からNb、InSbナノワイヤー接合が作製されたことを確認できたが、超伝導電流の検出を行うことはできなかった。Nb-InSbナノワイヤー-常伝導接合を作製し測定したが、作製してから測定を開始するのに時間を経ちすぎたためか、測定できなかった。酸化の問題を解決する方法としてNbの上にTiをさらに蒸着する方法を提案した。実際にルンド大学ではTi/Nb/Tiの三層で試料を作製し、Nb-InSb接合の測定に成功している。我々のグループではNbの蒸着に関してはレジストの影響をなくすためにステンシルを用いた蒸着に取り組み、薄膜が超伝導になっていることの確認などを行い、徐々に前進している。 これまでに得られているサイドゲートによる制御の評価を行うためにサイドゲートに電圧をかけたときのInAsドット内の波動関数の変化のシミュレーションを行った。その結果からサイドゲートによってドット内の波動関数をよく制御でき、量子ドットのパラメータである結合の強さや、軌道状態の縮退度が制御可能であることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
すでに当初の研究計画のほとんどを達成することができ、予定よりも一年早く学位を取得することができた。また、当初の計画には予定されていなかったマヨラナ粒子の検出に関して取り組むことができている。
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Strategy for Future Research Activity |
InSbを使用してマヨラナ粒子の検出とその制御と電子スピンの制御を今後の計画として考えている。マヨラナ粒子の検出に関しては超伝導ギャップエネルギーが大きいNbの使う必要があるが微細加工が難しく、その問題を解決する必要がある。電子スピン制御に関してはg因子が大きいので高速な制御が期待できるが、緩和時間が短いので、いかに早く電子スピン制御できるかが重要となる。そのために微小磁石を用いることを考えている。
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