2010 Fiscal Year Annual Research Report
酵母ユビキチンリガーゼRsp5による異常タンパク質の分解とその制御機構の解明
Project/Area Number |
10J09119
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
佐々木 俊弥 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ユビキチン / Rsp5 / パーミアーゼ / 異常タンパク質 / タンパク質分解 / エンドサイトーシス / ストレス |
Research Abstract |
細胞の持つタンパク質の品質管理機構はその破綻が疾患に深く関係することから精力的に研究されているが、原形質膜における機構にその主眼が置かれることは少なかった。原形質膜上のタンパク質はユビキチン化とその後のエンドサイトーシスを経て分解され、出芽酵母ではユビキチンリガーゼRsp5が唯一原形質膜上のタンパク質をユビキチン化する。本年度の研究では研究計画に基づき、上述の機構の存在を明らかにすべく、原形質膜上のアミノ酸パーミアーゼGap1をモデル基質としてGFP融合タンパク質を用いた解析を行った。その結果、タンパク質変性を引き起こすと考えられるストレス、例えばエタノールや高温でGap1の分解が誘導されること、また、それがRsp5によるユビキチン化依存的であることを見出した。この機構の生存戦略上の意義を解明し、酵母発酵生産能の改善に貢献することを目的に行った生育試験では、Gap1とRsp5の結合を仲介するアダプターBul1/2遺伝子の破壊株、およびエンドサイトーシス機能欠損がエタノールや高温ストレスに感受性を示すことを示した。Rsp5のThr357のAla置換がRsp5の活性を恒常化することから、この残基がRsp5の制御機構に関係すると考えた。さらに、今年度行った解析の結果、Rsp5のリン酸化状態を検出することに成功した。Thr357のリン酸化に関してはこの部位特異的な抗リン酸化ペプチド抗体を作成し解析を行ったが、結論を出すには至っていない。しかしながら、本発見はRsp5のリン酸化状態を検出した初めての例であり、高等真核生物にまで保存されているこのユビキチンリガーゼファミリーの制御機構を知る上で非常に大きな貢献が期待されるものである。
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