2010 Fiscal Year Annual Research Report
カソードルミネッセンスによる長石の放射線損傷の定量的評価
Project/Area Number |
10J09247
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
鹿山 雅裕 岡山理科大学, 理学研究科材質理学専攻, 特別研究員(DC2)
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Keywords | カソードルミネッセンス / 長石 / He^+イオン照射 / 構造欠陥 / タンデム加速器 / 放射線損傷 / 地質線量計 / 年代測定 |
Research Abstract |
カソードルミネッセンス(CL)分光分析は放射線により生成される構造欠陥を検出することから鉱物を対象とした微少領域における地質線量計・年代測定への応用に期待されている。しかしCLによる欠陥密度の定量的評価は難しく、さらに鉱物のCLメカニズムは複雑であるため未だ実現に至っていない。本研究では、放射線がCLに及ぼす影響を解明すべくα線を模擬したHe+イオンを長石鉱物に照射し、同試料に対してCL像観察ならびにCLスペクトル測定を試みた。本年度初期において長石鉱物の中でも端成分であるアルバイト、サニディン、アノーサイトに対してHe+イオン照射を行い、得られた照射試料に対してLuminoscopeおよびMiniCL画像観察装置を用いてCLハロの観察を試みた。その結果、He+イオンの照射線量に依存して各種長石のCL発光色に変化がみられた。また、CL像観察から放射性ハロの視認化が可能となった。本年度中期には、SEM-CL装置によるCLスペクトル測定を試み、照射試料においてのみ特徴的な赤色発光が確認された。本年度末期には、得られたスペクトルデータをOriginPro8.1のデコンボリューション(波形分離)を用いて解析した。その結果、放射線損傷により生成した構造欠陥を特定するとともに、これに関係する発光成分の積分強度を定量的に評価することができた。積分強度は照射線量と正の相関関係を有し、得られた線量感度は直線で近似される。この線量感度直線を用いることにより広い範囲における地質線量計・年代測定が期待される。これら研究結果については国内外の学会において11件発表した。また、波形分離による長石のCLスペクトル解析についてはAmerican Mineralogistに投稿し、同論文はすでに印刷されている。
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