2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10J09318
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
数間 恵弥子 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | Agナノロッド / 酸化チタン / プラズモン共鳴 / 局在電場 / 情報記録 |
Research Abstract |
本研究では、金属ナノ粒子-半導体界面で起こるプラズモン誘起界面電荷分離(PICS)に対する局在表面プラズモン共鳴(LSPR)の寄与の仕方と、電荷分離が起こり得る界面の電子構造を検討することでPICSのメカニズムの解明を目指す。LSPR励起された粒子の周りに生じる強く増強された電場はSERSや光電流増強などに応用されるが、PICSに関与するかは明らかではない。 本年度は、短軸、長軸方向の偏光に対し異なる電場分布を示すAgナノロッド(NR)を用いて、PICS挙動と局在電場の関わりについて調べた。Agナノ粒子-TiO_2ではPlCSによりAgナノ粒子が酸化溶解し、生成したAg^+イオンはTiO_2に引き抜かれた電子と再結合し新たな粒子として粒子近傍に再析出する。溶解した部位また再析出粒子の分布から電子移動確率の高い箇所を特定できる。AgNRに長軸方向の偏光を照射するとNRの短辺から溶解し長さが短くなり、短辺付近で再析出粒子がみられた。一方、短軸方向の偏光照射では、NRの長辺方向に再析出粒子がみられた。再析出粒子のマッピングと理論計算により求めたLSPRによる電場の空間分布を比較すると、電場が増強されている箇所で顕著に再析出、粒子の溶解が起こっていることが確認された。以上から、LSPRの局在電場はPICSを誘起またはアシストしていることが明らかとなった。 TiO_2上のAgNRでは短軸、長軸方向の偏光方向に対し選択的にPlCSに基づく酸化溶解が起こり、照射波長で照射偏光方向の吸収が減少する。特に長軸方向のLSPRモードは近赤外域に吸収を示すことから、本材料は波長および偏光選択的に書き込みが可能な目に見えない画像記録材料として応用できることが見出された。
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