2010 Fiscal Year Annual Research Report
近現代アラブ=ベルベル文学研究におけるモダニティとナショナリズムの受容と展開
Project/Area Number |
10J09331
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鵜戸 聡 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | アルジェリア文学 / アグレブ文学 / アラブ文学 / 比較文学 |
Research Abstract |
平成22年度においては、近現代アラブ=ベルベル文学の日本における受容を中心に研究し、国際学会および当該アラブ地域における英語・フランス語による発表を数多く実施することによって、諸外国の研究者との交流を深め、外国文学研究の成果を現地にフィードバックすることに努めた。中東研究世界大会(バルセロナ)おまび第一回日本アルジェリア学術交流セミナー(アルジェ)、ベイルート若手報告者会議における諸発表がそれに該当する。 加えて、本研究の特色であるアラブ=ベルベル諸国の文学を比較研究する視点からは、国際比較文学会(ソウル)において、アルジェリアの作家カテブ・ヤシンとレバノンの詩人ナディア・テュエニを、とりわけフランス語使用の問題から比較検討し、諸外国の専門家たちと討議をおこなった。 さらに、年度末に出版された『反響する文学』(土屋勝彦編、風媒社)に、41頁にわたる論考「アラブ・フランコフォニーの世界文学:アルジェリア、レバノン、エジプト」を寄稿し、日本ではほとんど知られていないフランス語圏の現代アラブ=ベルベル文学について包括的に論じ、この分野の基礎的情報を広く提供するように努めた。とくに、アルジェリア文学のフランス語文学とアラビア語文学の関係や、レバノン文学とエジプト文学におけるフランス語による創作の歴史については、これまで日本語で紹介するものがまったく存在していなかったため、本稿が貴重な情報源となることだろう。
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