2011 Fiscal Year Annual Research Report
近現代アラブ=ベルベル文学におけるモダニティとナショナリズムの受容と展開
Project/Area Number |
10J09331
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鵜戸 聡 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | アルジェリア文学 / マグレブ研究 / フランコフォニー / フランス語圏文学 / アラブ文学 |
Research Abstract |
当該年度における私の研究の主要な部分は、11月28日付で東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻に提出した博士学位請求論文「コスモグラフィーとしてのカテブ・ヤシン文学:アフリカ性と民衆の詩学」に結実している(3月27日に口述審査合格)。これは近現代アラブ=ベルベル文学を対象とした本研究課題において、その中核をなすアルジェリア文学の研究であり、マグレブ(北アフリカ)文学最大のフランス語作家のひとりであるカテブ・ヤシンの作品を詳細に論じたものである。本論文は、我が国で初めてマグレブ文学を扱った博士論文であり、極めて蓄積の僅少な現代アラブ文学研究に大きく寄与するのみならず、カリブ研究に偏りがちであったフランス語圏文学研究を補う意義がある。 この論文は、カテブ・ヤシンの生涯や主要著作について概要を述べるにとどまらず、世界的にも研究の進んでいないない『星の多角形』(1966)という作品を詳細に分析することを通じて、この作家に特徴的なエクリチュールの反復運動とその宇宙的ヴィジョンについて「コスモグラフィー」という観点から独自の研究を提示した。さらに、そのコスモグラフィーにおいて展開されるテーマとして「アフリカ性」と「民衆」という二概念を抽出し、それらがいかなる関係性をもっているのかについて詳細なテクスト分析に基づいて論じている。 さらに、マグレブ文学最初の大作家とされるムールード・フェラウンの没後50周年記念国際シンポジウムに、アルジェリア国立人類学先史学歴史学研究所(CNRPAH)およびアルジェリア文化省の招聘によって参加し、アルジェリア国立図書館において研究報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
カテブ・ヤシンを題材として、アルジェリア文学におけるナショナリズムとモダニズムの問題を論及し、その研究の成果を博士学位請求論文として完成させた。
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Strategy for Future Research Activity |
博士論文では主にフランス語による文学活動を論じて来たため、今後は1970年代を中心としたアルジェリア・アラビア語文学およびアルジェリア方言アラビア語演劇について研究を進める予定である。
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Research Products
(1 results)