2010 Fiscal Year Annual Research Report
レプリカ法から誘導される内部対称性を持った共形場の理論の研究
Project/Area Number |
10J09673
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
島田 悠彦 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | レプリカ法 / 共形場理論 / O(n)ループ模型 / 二層模型 / トーラス上の分配関数 / スケーリング次元 / ラマヌジャン和 / 超対称共形場の理論 |
Research Abstract |
本課題では、レプリカ法から誘導される内部対称性をもった共形場の理論を研究した。レプリカ法はランゼム系の解析に有効であるがゼロ次元スピングラスなどを除く有限次元系については未解決な部分が多い。一方、共形不変性は2次元臨界現象について厳密な解析を可能にするため、これをレプリカ法と併せて使えるように拡張することが重要である。レプリカ法の特徴は、非一様な相互作用をもつランダム系を、層間に相互作用のある一様な層状の模型にマップすることである。従って後者の模型が厳密に解析できれば、ランダム系に関する厳密な結果を得るためのステップとなる。そこでランダム環境下の高分子等を記述する乱雑O(n)ループ模型では繰り込み群によって非自明な固定点が得られるという前年度の結果に注目し、層状化したループ模型を考案して臨界点を厳密に解析した。層間の相互作用の効果は、ループが作る影の符号付き交点数に応じて重みを与えるとするとトーラス上の非線形シグマ模型におけるトポロジカル項として扱え、経路積分において局所的なループの揺らぎと分離できる。この事情に加えて、一層の場合はクーロンガスと呼ばれる方法論によりループ模型の分配関数が書き下されているので、これを二層に拡張することは直接的であった。ただし分配関数には興味深いことに整数磁荷に加えて分数電荷の量子数をもった演算子が現れる。各演算子の重複度はラマヌジャン和という算術関数の積で表わされ選択則が複雑になるため、特に重要であるIsing模型(n=1)の場合に詳しく解析した。このとき相互作用がゼロの場合と双対になる特殊な模型を定義できるが、この模型でいわゆるdilute相とdense相におけるスペクトルの直和をとると、あるN=1超対称共形場の理論のスペクトルが得られた。これはレプリカの内部自由度から一見異なる対称性が獲得されるという知見であり重要である。
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Research Products
(4 results)