2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10J09816
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Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
渡邊 言也 玉川大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 強化学習 / 情動 / fMRI |
Research Abstract |
我々は日々の社会的な意思決定場面や学習場面において同時に様々な感情を誘発され、それが意思決定や学習を変化させてしまうという経験をする。本研究はヒトの学習時における情動反応の役割を行動実験と機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を用いて明らにした。情動の中枢である扁桃体は報酬予測誤差の計算に重要であるドパミンシステムと強い神経結合があり、扁桃体が刺激報酬連合学習の速度や到達度のモジュレータの役割をしている可能性がある。そこで扁桃体の活動を変化させることのできる「顔の表情刺激(Fear or Neutral)」と強化学習パラダイムを用いて情動の強さの違いが学習過程をどのように変化させるのかを観察し、そのメカニズムを明らかにすることを目的として実験を行った。平成23年度は平成22年度で観察された情動刺激が学習率を増加させるという結果に基づいて、この現象が脳においてどのように表現され実現されているかをfMRIを用いて測定した。その結果、腹側線条体、特に側坐核において学習率を作り出す報酬予測誤差に相関する脳活動の強度がNeutral条件と比較してFear条件で有意に高いという結果が得られた。また、顔提示タイミングにおいては扁桃体の活動がNeutral条件よりFear条件で有意に高かった。そこでこの扁桃体の活動と側坐核の活動の相関を調べたところ、Fearful条件においては扁桃体の活動が高い人ほど、側坐核の活動も高かった。しかし他の脳部位間については活動の相関関係は見られなかった。このことから、情動刺激による学習率の上昇は、腹側線条体(特に側坐核)に表現されている報酬予測誤差に相関する活動を変化させることによって実現していることが明らかとなった。また、この側坐核の活動の上昇は扁桃体からの入力が増加することによって実現されていることが示唆された。
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