2011 Fiscal Year Annual Research Report
漢字による表現としての『古事記』の叙述の方法について
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10J09874
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
馬場 小百合 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 国文学 / 上代文学 / 古事記 / 日本書紀 / 万葉集 / 記紀歌謡 / 木簡 |
Research Abstract |
今年度も、『古事記』の精読が研究の軸となった。研究遂行の具体的な成果としては、まず2011年6月19日、高岡市生涯学習センターにて開催された古事記学会6月大会にて、「『古事記』豊玉毘売と火遠理命の贈答歌について」という題目での研究発表を行った。これは『古事記』における歌と散文の表記法の違いに着目しつつ、従来見過ごされてきた語句の解釈に着目することで、歌と散文からなる『古事記』の表現のありようを問い直すものである。この発表については、現在論文のかたちで学会誌への投稿を予定しており、執筆を継続中である。 さらに昨年度に引き続き、国内外の学会・シンポジウムに積極的に参加し、古代東アジア漢字文化圏に関する研究の最前線で情報収集に努めた。具体的には、6月の上代文学会大会、8月には第7回若手研究者支援プログラムに参加した。特に若手研究者支援プログラムにおいて開催されたシンポジウム「古事記と万葉集」は、上代日本における書記の問題を議論する場となり、筆者の関心にも合致し、多いに刺激を受けることとなった。また10月には昨年度に引き続き韓国に渡り、第29回国際学術シンポジウム・韓国日本文化学会第41回国際学術大会等の学会に参加し、現地の教授・学生と意見交換をすることができた。また国立中央博物館では木簡等の文字資料の閲覧・資料収集を行った。さらに百済時代の城郭跡「公山城」を見学し、発掘現場を実見する機会を得た。 以上が主な研究実施状況となる。テキストの精読と、古代東アジア漢字文化圏という視野の広がりを確保することを意識しながら、成果発表の場を持つことができたと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
『古事記』テキストの精読を進め、成果として公に発表することができた。また、内外の研究会・学会に参加し、特に韓国において積極的に資料収集を行うことができた。
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Research Products
(1 results)