2011 Fiscal Year Annual Research Report
ケテン-アルケン[2+2]付加環化反応を基盤とする含窒素複素環の合成研究
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10J09957
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
小澤 司 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 不斉合成 / キラルケテンイミニウム塩 / アルカロイド / 付加環化反応 |
Research Abstract |
申請者が昨年度実施した研究に関する成果は以下のとおりである。 1.(-)-エセルメソールの全合成 キラルケテンイミニウム塩を用いた分子内不斉[2+2]付加環化反応を鍵とする(-)-エセルメソールの合成研究を行った。適切に置換基を導入した鍵反応前駆体を用いて本不斉反応を行ったところ、対応する付加環化体が収率75%、93%eeで得られた。続いてシクロブタノン部をニトロンを経由する位置選択的環拡大反応に付しラクタムへと変換した後、リチウムアルミニウムハイドライドを用いてラクタムの還元とカーバメートのN-メチル化を一挙に行うことで(-)-エセルメソールへと導いた。 2.(-)-デブロモフルストラミンB及びEの全合成 本不斉反応を用いてピロリジノインドリンアルカロイド(-)-デブロモフルストラミンB及びEの合成研究を行った。まず始めに当研究室の先行研究であるヒドロキソ白金錯体を用いたアリールボロン酸のアレンへの位置選択的付加反応を2-アミノフェニルボロン酸に適用させることで効率良く側鎖を導入した。これより導いた鍵反応前駆体を用いて本不斉反応を行ったところ、対応する付加環化体が収率65%、90%eeで得られた。続いてニトロンを経由する位置選択的環拡大反応を行いラクタムへと導いた後、種々官能基変換を行い(-)-デブロモフルストラミンB及びEをそれぞれ合成した。 分子内キラルカルバモイルケテン-アルケン[2+2]付加環化反応は当研究室で開発された独自の手法であり多様な生理活性アルカロイド及び含窒素複素環化合物合成の有用な手法となる可能性を秘めている。今回申請者は本不斉反応を用いたアルカロイドのエナンチオ選択的合成研究を行い、所期の目的を達成することが出来た。今後は他のピロリジノインドリンアルカロイドやインドールアルカロイドの不斉合成への展開を目指し研究を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度の研究で開発したキラルケテンイミニウム塩を用いた分子内不斉[2+2]付加環化反応をピロリジノインドリンアルカロイドのエナンチオ選択的合成へと展開することに成功し、その有用性を実証するとともに、本不斉反応が多様な生理活性アルカロイドのエナンチオ選択合成の有用な手法となる可能性を確認できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策 1.本不斉反応の一般性の検討 種々の基質を有する鍵反応前駆体を用いて本不斉反応を検討し、その一般性を検証する。 2.生理活性アルカロイドのエナンチオ選択的合成 本不斉反応をアスピドスペルマインドールアルカロイドやメセンブリン型アルカロイド等、種々の生理活性アルカロイドのエナンチオ選択的合成へと展開し、効率的な新規合成ルートの開拓を目指す。
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