2011 Fiscal Year Annual Research Report
逆行性小胞輸送による幹細胞非対称分裂の制御機構の解析
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10J09959
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
前川 大志 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 逆行性小胞輸送 / 非対称分裂 / 線虫 / SNARE / GS28 |
Research Abstract |
本研究では、逆行性小胞輸送におけるSNARE分子GS28の線虫変異体(GS28変異体)において、幹細胞の非対称分裂に異常が見られることを見出している。この非対称分裂の異常の分子機構を探るために、GS28変異体とフェノコピーする線虫変異体の探索を行った。当研究室には東京女子医大の三谷研究室との共同研究により、小胞輸送関連分子だけでなく、脂質代謝関連分子の線虫変異体ライブラリーがあり、変異体レベルでのな解析が可能である(RNAi実験ではノックダウン効率などの影響があり、変異体レベルの解析のほうが優れている)。 その結果、アラキドン酸やエイコサペンタエン酸(EPA)といった高度不飽和脂肪酸(PUFA)が合成出来ない変異体であるfat変異体において、弱いながらも、GS28変異体と同様にseam cellの非対称分裂に異常を示すことを新規に見出した。 当研究室では、既に生体膜の主要リン脂質であるホスファチジルイノシトール(PI)の脂肪酸組成を規定する酵素の変異体において、幹細胞の非対称分裂に異常が見られることを見出している。また、PUFAが欠乏することで、生体膜の流動性が減少すると言われており、膜輸送へ影響が出ると考えられる。生体膜の脂肪酸組成の変化が細胞内膜輸送に何かしらの影響を与え、非対称分裂に異常を来している可能性がある。 今後は、GS28変異体とfat変異体の遺伝学的相互作用(二重変異体において表現型が増強されるか、等)を解析していくことで、PUFAとゴルジ嚢間の逆行性小胞輸送の関連性を更に探っていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
GS28変異体と遺伝学的に相互作用する遺伝子や、表現型をフェノコピーする変異体を見つけることができ、PUFAと逆行性小胞輸送との関連性が見え始めている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、GS28変異体とfat変異体の遺伝学的相互作用(二重変異体において表現型が増強されるか、等)を解析していくことで、PUFAとゴルジ嚢間の逆行性小胞輸送の関連性を更に探っていきたい。 特に当研究室ではPUFAを膜リン脂質に導入するアシルトランスフェラーゼの変異体を複数所持している。それらの変異体との遺伝学的相互作用も探って行きたい。
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