2010 Fiscal Year Annual Research Report
現代のパフォーミング・アーツにおけるメディアの利用についての歴史的・理論的検討
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10J10029
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
江口 正登 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | パフォーマンス研究 / 舞台芸術 / 演劇 / 現代演劇 / アメリカ演劇 / メディア / 身体 |
Research Abstract |
本研究の目的は、20世紀後半以降のパフォーミング・アーツにおけるメディアの利用の様態を包括的に検討し、その歴史的な変遷およびそこから見出される理論的な展望を明らかにすることにある。初年度となる本年度は、基本的な先行研究の検討を進めつつ、論文を一本執筆、学会発表を一本行った。論文「メディアの複数性を考える-ジョン・ジェスランの『ディープ・スリープ』と『ホワイト・ウォーター』」は、修士論文で扱ったアメリカ合衆国の演出家ジョン・ジェスランについての研究を更に発展させたものである。「メディア」という概念の一般性の下にしばしば覆い隠されがちな、フィルムやヴィデオといった個々の「メディウム」の固有性に、ジェスランがいかに意識的に取り組んでいるかを明らかとし、メディアをその複数的な様態において把握することの重要性を論じた。学会発表「アラン・カプロウ<ハプニング>再考-上演芸術の新しい言語」では、20世紀後半のパフォーミング・アーツの展開を歴史化するために、アラン・カプロウと、彼の提案した新しい芸術形式である「ハプニング」についての検討を行った。マイケル・カービィなど、第一義的には演劇のフィールドに属する作家・理論家によるハプニングの受容を検討することにより、1950-60年代のアメリカにおける造形芸術と上演芸術との、ジャンル横断的な影響関係の有り様の一端を明らかにし、また、ハプニングというこの新しい上演形式が、従来的な「演劇」の側に対してもパラダイムの変容を促したものであることを論じた。また、一次資料調査として、2010年9月から10月に約1か月弱渡米し、文献収集に加え、New York Public Library for the Performing Artsに収蔵されている演劇作品の記録映像等の視聴を行うことができた。
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Research Products
(2 results)