2012 Fiscal Year Annual Research Report
数を制御した複数のヒト細胞質ダイニン分子の運動解析
Project/Area Number |
10J10101
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柴田 桂太朗 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2010 – 2013-03-31
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Keywords | 細胞質ダイニン / 細胞内輸送 / 生物物理学 |
Research Abstract |
本研究では、細胞質ダイニン分子の数を正確に制御した複合体を作製し、連続的に運動できるようになるかどうか、運動解析をおこなう。細胞質ダイニンは、細胞内輸送や細胞分裂の際に、積荷に結合して、細胞骨格である微小管上を「歩く」ことで小胞等を運んでいるタンパク質である。このダイニンが積荷を運ぶ際には微小管上を決まった方向に連続的に歩き続ける必要があると考えられる。しかしながらヒト由来の細胞質ダイニンは、1分子では微小管上を歩こうにも微小管からすぐに解離してしまうため、連続的な運動が出来ないことが分かっている。細胞内輸送を行う為に必要な連続的な運動性を、ダイニンはどのようにして獲得しているのか解明することは、細胞の重要な生命現象の仕組みを理解することにつながる。私は1分子では連続的ではなくとも、複数のダイニン分子が連結していれば、連続的な運動が可能なのではないか、また、その数によって輸送を制御することが可能なのではないかと考え、次のような手法で実験を行うこととした。ホモダイマーであるダイニン分子をDNAを使って連結し、あらかじめ決められた数のダイニン分子から成る複合体を作る。その複合体の運動を、速度、移動距離、移動の軌跡の観点から解析する。 そのためには連結に用いるDNAと結合するタグを、一つずつ融合したダイニン分子を作製する必要がある。・よって二種類のタグを一つずつ持ったヘテロなIC74を発現する安定発現細胞株を作製した。IC74はダイニン複合体を形成するサブユニットの一つで、変異を入れにくいダイニンに比べてタグなどを融合させやすく、ダイニンと強く結合しているホモダイマーである。このヘテロIC74を用いて2つのダイニン分子をDNAで連結することに成功し、さらにこの2分子ダイニンが微小管上を連続的に運動する様子も観察された。
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