2010 Fiscal Year Annual Research Report
「近世琉球弧における経世済民社会の諸相~八重山諸島の民衆生活を事例として~」
Project/Area Number |
10J10330
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
内原 英聡 法政大学, 国際日本学インスティテュート, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 琉球文化圏 / 近世 / 経世済民 / 八重山諸島 / シマ / 比較文化 / 社会学 / 民俗学 |
Research Abstract |
本研究の目的は、近世琉球弧における「経世済民」思想を検証し、その成果を今後の社会へ還元することにある。本論は1、近世琉球弧における自然と人々の関わり、2、庶民の相互行為-関係性の実態と変遷、3、災害時におけるシマ社会内外の取り決めごとの諸相、以上3つのテーマを基軸として構成される。 今年度の当初はテーマ「1」に関する論文を前期にまとめ、学会査読誌『沖縄文化研究』(沖縄文化研究所発行)に投稿する計画であった。ただし今回は本誌への投稿を改め、一次史料の精査や二次資料の収集に重点を移行した。加え2010年は沖縄本島各地及び八重山諸島の「孟蘭盆」を調査(8月12日~30日)、翌年は同地域の「十六日祭」を調査した(2月14日~23日)。本研究では近世と現代の文化比較も重視している。具体的には行事の期間、当該地区における各家庭・祭祀集団の取り組みを把握するとともに、扱う食材や道具立て等の実態を記録することが、夏季・冬季調査の意義と目的であった。なお、後期は前期の成果を踏まえ、当初の計画通りテーマ「1」・「2」に関する論文を執筆。学内査読誌『国際日本学』(法政大学国際日本学研究所発行)に投稿した。 「「世(ユゥ)」をむすぶリョングブン(霊供盆)-「霊供盆」から見える八重山の自然と人々の係わり-」と題した本論文は、2011年9月の『国際日本学・第9号』に掲載される(予定)。「霊供盆」は八重山諸島で神事・仏事の際に用いられる食器具のことであるが、本論はこの道具の由来や扱われる食材の変遷等を検証、そこから、当該社会の暮らしや信仰形態がいかに変容したかを明らかにした。現在は引き続き近世琉球弧の社会に普及した「風水」思想を取り上げ、執筆を進めている。次年度は本論文を査読誌『沖縄文化研究』(法政大学沖縄文化研究所発行)に投稿し、さらにテーマ「3」に関する論文を学会査読誌『沖縄文化』(沖縄文化協会発行)へ投稿する計画である。
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