2012 Fiscal Year Annual Research Report
千島沈み込み帯で発生した巨大地震の発生パターンを津波数値計算を用いて解明する研究
Project/Area Number |
10J10436
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
伊尾木 圭衣 北海道大学, 大学院・理学院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 巨大地震 / 津波 / 千島海溝 / 北海道 / 津波数値計算 / 津波堆積物 |
Research Abstract |
千島沖巨大地震の発生パターンを解明するため,過去の巨大地震について津波波形解析を行い,詳細な破壊域を解明することを目的とし研究をおこなった.1963年千島沖巨大地震(Mw8.2)と最大余震(Mw7.9),1958年択捉島沖巨大地震(Mw8.1),1969年北海道東方沖巨大地震(Mw8.0)について津波波形解析をおこなった.さらに千島海溝付近で発生した他の巨大地震との関連性を考察した。その結果,千島海溝に沿って発生したプレート境界型地震は,重複することなくすきまなく破壊され,また空白域も存在しないことがわかった.1963年千島沖地震と1969年北海道東方沖地震はともにプレート境界の深い場所で破壊がおき,破壊されなかったプレート境界浅部が破壊され,1963年千島沖地震の最大余震と1975年色丹島沖地震となり,津波地震となったことがわかった.この結果は国内学会で発表した. また,北海道東方沖で確認された有史以前の津波による津波堆積物に注目した.この巨大津波を引き起こした巨大地震の繰り返し間隔は約400~600年.最も新しいイベントは17世紀初頭のものである.津波堆積物が発見された場所と高さを用いて,17世紀巨大地震の断層モデルを求めた.その結果,十勝沖と根室沖の大きな破壊域と,海溝付近のプレート境界浅部の非常に大きなすべりによって説明することができた。また,17世紀巨大地震(Mw8.8)は,大きな破壊域を持ち,海溝付近のプレート境界浅部で非常に大きなすべりが発生した2011年東北地方太平洋沖地震(Mw9.1)と同じタイプの地震であったと考えられることがわかった.この結果は国際学会や,国内学会で発表した. さらに修士課程,博士課程でおこなったこれらの研究をまとめ博士論文を作成した.
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Research Products
(3 results)