2010 Fiscal Year Annual Research Report
新規軸索ガイダンス分子LOTUSの生物学的機能の解析
Project/Area Number |
10J10524
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
池谷 真澄 横浜市立大学, 医学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | Nogo / 嗅索 / 軸索ガイダンス |
Research Abstract |
本研究ではLOTUSの胎生期脳における生理機能を明らかにする目的でlotus及びngr1遺伝子欠損マウスを作製し、LOT形成に関わる機能解析を行った。 (1)in vitroにおけるLOTUSとNgR1の相互作用の解析:胎生13日目の嗅球の初代培養細胞において、Nogo-66に対する成長円錐応答性を調べたところ、野生型に比してlotus遺伝子欠損マウスで有意にNogo66による成長円錐崩壊は増加した。このことは、LOTUSはNgR1と同一細胞上で結合することでNogo66のNgR1への結合を阻害し、神経再生阻害作用を抑制することを示す。 (2)in vivoにおけるLOTUSとNgR1の相互作用の解析:胎生18日目のlotus遺伝子欠損マウスのLOTをDiIトレース法によって可視化して観察したところ、LOTが脱束化する表現型を得られた。またLOTUSの結合相手であるNgR1を欠損させたngr1遺伝子欠損マウスでは脱束化は見られなかった。そして、lotus遺伝子およびngr1遺伝子の両方を欠損させたダブルノックアウトマウスではLOTの脱束化が見られなかった。lotus遺伝子の単独欠損ではLOTが脱束化したが、Nogo66の受容体であるngr1遺伝子を同時に欠損することでNogo66への応答性が消失すると、lotus遺伝子欠損によるLOT脱束化がレスキューされ、表現型が回復した。これらのことから、LOTUSとNgR1の相互作用はNgR1の機能を負に制御し、LOT形成に寄与することが示された。 これらより、LOTUSは内在性のNgR1アンタゴニストとして働くことが示唆され、またLOTUSとNgR1の相互作用がLOTの形成に重要であることが明らかになった。
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