2010 Fiscal Year Annual Research Report
遺跡における有効な電磁気探査法の開発 -積雪でのモデル実験の併用と遺跡での適用-
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10J10565
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
泉 吉紀 富山大学, 理工学教育部, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 遺跡探査 / 地中レーダー / 雪氷の構造 |
Research Abstract |
本年度は,国内の遺跡での電磁気探査による測定装置と方法の改良を中心に進めた. (1)従来,殆ど行われていない壁面からの探査を,富山県の黒部川に構築された愛本橋を対象に行った.同橋は江戸時代(1662年)から明治時代に黒部川上流域にかけられた「日本三奇橋」の一つであり,両岸から大木を斜めに刎ね出して上に橋桁を載せる木造橋との古文書はあるが,その架設位置も不明であった.黒部川に面する壁で,ゴンドラを利用して行う地中レーダ探査を考え,調査した結果,壁面内部の異なる層構造が判明し当時の架橋位置を発見できた. (2)富山県の高岡城跡において,本丸と二の丸を繋ぐ土橋の構造を探査した.加賀藩二代藩主前田利長が1609年に築城の高岡城は,総面積21万m^2の約3割が水濠で占められる平城で,濠と土橋の関係解明が重要課題となっている.土橋壁面(石垣面)で工夫して探査した結果,石垣の上部・下部での層構造の違いが明確に認められた.地表面での調査では,本丸や二の丸と比べてレーダ波の反射強度が強く土質が異なるとわかった.以上の結果は,土橋の範囲は地山を掘削した後で盛土を施して造られたことを示しており,従来に無い見解が明らかになった.高岡城跡では調査の継続が予定されており,研究を進展でき 上記の成果は公表する予定である.開発した調査法は,積雪地域での壁面を対象とした非破壊の探査でも活用できると考えている. (3)防災科技研・長岡雪氷防災研究センターで実施した雪氷構造のモデル実験での研究のデータ解析を進めた.雪氷の内部構造の変化に伴うレーダ波反射パターンが検証でき,今後の探査の解析に利用できる段階となった.成果はH23年度の雪氷学会で発表する.
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Research Products
(1 results)