Research Abstract |
好気性微生物を利用した活性汚泥法は,良好な水質を得ることができることから,排水処理に対して広く普及している.その反面,エアレーションに莫大なエネルギーを必要としている.エネルギー枯渇,地球温暖化が騒がれている状況下において,活性汚泥法から脱却するために,新たな省エネ型下水処理法の確立が望まれている.一方,インドやブラジルなどの新興国においては,エアレーションが不要であり,発生するメタンガスをエネルギーとして利用可能であること等の特長から,UASB法などの嫌気性処理法が採用されでいる.しかし,処理水中に溶存するメタンは回収されずに大気へ放出されている.特に下水のような低濃度有機性排水の嫌気性処理では,全生成メタン量に対して,溶存メタン量の割合は半分以上との報告もある.一方で,メタンは二酸化炭素の25倍もの温室効果能を持つため,僅かな溶が存メタンでも大気への放出を防止する技術開発が必要である.そこで,本研究では,嫌気性処理装置から発生する溶存メタンを回収・分解・利用した持続可能循環型排水処理技術の開発と処理メカニズムの解明を行う事を目的とした.本年度は,溶存メタンの回収と分解に関する研究に着手した.その結果,微量の空気をリアクターに供給する事で,溶存メタンが自燃可能濃度のメタンガスとして連続的に回収する事ができた.溶存メタンの酸化分解は,水量の半分程度の空気を供給する事で,流入の99%以上の溶存メタンを分解した.さらに,リアクター内に存在する微生物を解析する事で,処理に関与する微生物群を明らかにした.
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