2011 Fiscal Year Annual Research Report
機能性生体材料及びサイトカインを用いた骨髄、皮膚、毛細血管再生に関する研究
Project/Area Number |
10J40089
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
岸本 聡子 慶應義塾大学, 理工学部, 特別研究員(RPD)
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Keywords | 機能性生体材料 / サイトカイン / 細胞キャリア / スフェロイド / 多血小板血漿(PRP) / 間葉系幹細胞 / 三次元培養法 |
Research Abstract |
本研究では、既にin vitroで基礎検討を実施してきたフラグミン/プロタミン混合微粒子(F/P MPs)及びフラグミン/プロタミン混合ナノ粒子(FIP NPs)を、機能性たんぱく質(サイトカイン)と併用或いは細胞キャリアとして使用する研究を中心に実施し、F/P MPs及びF/P NPsを用いた臨床実験に向けて準備を進めている。1.FGF-2或いは多血小板血漿(PRP)併用による治療効果(血管新生効果及び創傷治癒促進効果)の検討についての課題では、PRP含有F/P MPsをヒト頭部に皮下投与すると、頭皮の顕著な血流改善を伴う育毛効果が観察された。2.癌治療のための遺伝子デリバリーシステムについての課題では、pTK溶液、キトサン溶液及びコンドロイチン硫酸(以下、CS-22)を用いて作製した二元或いは三元複合体に対する抗腫瘍効果を、マウスHuh-7細胞皮下投与モデルを用いて検討した。その結果、pTK/CS-22/キトサン複合体群では、複合体の形状がFresh及び凍結乾燥の状態に関わらず、マウスHuh-7細胞皮下投与モデルの腫瘍サイズ増加を経時的に抑制し、抗腫瘍効果のあることが確認された。また、病理組織学的にもpTK/CS-22/キトサン複合体群の抗腫瘍効果が確認された。三元複合体によるin vitro及びin vivoでの遺伝子デリバリーに対する検討結果を合わせて、論文執筆を進めている。3.F/P MPs被覆マトリックスを用いた間葉系幹細胞、造血系幹細胞等の増殖・分化誘導培養キットの作製についての課題では、ヒト血漿中の血小板とF/P MPsが複合体を形成することを利用した三次元ゲル培養法の確立を目指して検討を重ねた。その結果、三次元ゲル培養法を用いて各種ヒト細胞(DFCs、MVECs、SMCs、TF-1、ASCs及びBMSCs)を効率的に増幅培養できることが見出された。増幅後のASCs及びBMSCsの表面抗原の発現をFACS解析したところ、間葉系幹細胞としての特性を示すCD44、CD90及びCD105が陽性であり、CD34及びCD45が陰性であることが確認された。従って、F/P MPsを用いた三次元ゲル培養法で増幅されたASCs及びBMSCsは、間葉系幹細胞の性質を保持していることが明らかとなった。本研究の成果を論文として投稿予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
フラグミン/プロタミン混合ナノ粒子(F/P NPs)を用いた増殖因子等活性分子や間葉系幹細胞のデリバリー及び各種幹細胞の三次元ゲル培養法についての研究に進展があり、特に血清を使用せずに低血漿(2%)・培地ゲル内で各種細胞を三次元ゲル培養する手法を確立した。本法は、IPS細胞やES細胞を含めた各種幹細胞の安全で効率的な増幅・分化誘導法として大きな注目を集めるものと期待している。
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Strategy for Future Research Activity |
1.糖尿病性難治性皮膚潰瘍や閉塞性動脈硬化症等の疾病に対するPRP含有F/P MPsを用いた血管新生療法について、倫理委員会の承認を得て病院共同研究者とともに臨床実験の実施に結び付けていく。2.これまでに得られた知見の論文化、知財権の確保と共に、脂肪組織由来甲葉系幹紳胞とF/PMPsのスフェロイドの投与による血管新生療法の可能性を追求する。3.抗腫瘍活性の確認された遺伝子複合体のin vitro及びin vivoでの評価結果をまとめて論文発表する。4.ヒト血漿中の血小板とF/P MPsが複合体を形成することを利用した三次元ゲル培養法を、IPS細胞やES細胞を含めた各種幹細胞の安全で効率的な増幅・分化誘導法として展開し、さらに細胞の増殖・分化誘導培養キットの作製に繋げていく。5.致死量の放射線を照射したマウス骨髄死モデルを用いて、骨髄細胞或いは造血系幹細胞等培養細胞とF/P MPs及びF/P NPsによるスフェロイドの骨内投与の効果について再現性の良い細部条件を決定する。
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Research Products
(10 results)
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[Journal Article] Selective expansion of CD34+ cells from mouse bone marrow cultured on LH/P MP-coated plates with adequate cytokines2011
Author(s)
Satoko Kishimoto, Masayuki ishihara, Yasuhiro Kanatani, Masaki Nambu, Megumi Takikawa, Yuki Sumi, Shingo Nakamura, Yasutaka Mori, Hidemi Hattori, Yoshihiro Tanaka, Toshinori Sato
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Journal Title
Journal of Tissue Engineering
Volume: 2(1)
DOI
Peer Reviewed
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