2011 Fiscal Year Annual Research Report
病傷害応答時のジャスモン酸情報伝達による代謝変動を制御する転写因子複合体の解析
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10J40129
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
関本 結子 (佐々木 結子) 独立行政法人理化学研究所, 植物免疫研究グループ, 特別研究員(RPD)
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Keywords | ジャスモン酸 / 転写因子 / アントシアニン |
Research Abstract |
ジャスモン酸は成長の制御や、傷害・病害などのストレス応答に必須の植物ホルモンである。COl1はジャスモン酸情報伝達の中心的因子であり、活性型ジャスモン酸の結合に依存して、転写抑制因子と考えられるJAZタンパク質のユビキチン化とプロテアソームを介した分解を引き起こす。JAZファミリータンパク質は、ジャスモン酸応答性転写因子であるMYC2の抑制因子であり、JAZタンパク質の分解によって遊離したMYC2は、ジャスモン酸応答遺伝子群の発現を制御すると考えられている。 ジャスモン酸情報伝達に関わる転写因子に関する知見は限られていることから、我々はジャスモン酸応答性遺伝子群の共発現解析を行い、MYC2と共発現するbHLH型転写因子に着目し、MYL1(MYC LIKE1、lNU1より名称変更)とした。MYL1とJAZタンパク質の相互作用を酵母ツーハイブリッド法により解析した結果、MYL1とMYL1に最も近いホモログ(MYL2)が特定のJAZタンパク質と相互作用した。またMYL遺伝子の機能に関する生理学的解析を行うためにMYL遺伝子の破壊株をそれぞれ単離し、多重変異体を作成した。その結果、myl1myl2myl3三重変異体はメチルジャスモン酸処理に対して高感受性を示すことが明らかになったが、これはジャスモン酸非感受性を示すmyc2の表現型とは逆であった。またMYL1、2、3のターゲット遺伝子群を明らかにするためにmyl1myl2myl3のGeneChip解析を行った。これらの結果から、MYL1、2、3は相加的に機能し、ジャスモン酸の代謝経路やアントシアニン生合成経路を負に制御することが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はGeneChip解析によるbHLHグループIII d-f転写因子群の下流遺伝子の同定が大きく進展し、MYC2とMYL1,2,3との機能の相違点が明らかになった。さらにMYし遺伝子群がジャスモン酸類の代謝を制御しているという重要な知見も得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実施計画に大きな変更はないが、MYLを含む転写因子複合体構成因子の同定と、耐病性におけるMYL遺伝子の働きに関する研究を推進していくことを予定している。
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