2012 Fiscal Year Annual Research Report
病傷害応答時のジャスモン酸情報伝達による代謝変動を制御する転写因子複合体の解析
Project/Area Number |
10J40129
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
関本 結子 (佐々木 結子) 独立行政法人理化学研究所, 植物免疫研究グループ, 特別研究員(RPD)
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Keywords | ジャスモン酸 / 転写因子 / アントシアニン |
Research Abstract |
ジャスモン酸(JA)とその誘導体(JA-lle等)は植物の発達過程や病傷害への防御応答に必須の情報伝達物質である。JA-lle含量の増加は、COl1-JAZ複合体の形成からJAZタンパク質の分解、転写因子MYC2の活性化という一連の過程を引き起こすと考えられている。私達はJA応答遺伝子の発現プロファイルを用いたネットワーク解析より得られた、bHLH型転写因子MYL1、MYL2、MYL3に着目し研究を行ってきた。これらMYL転写因子の発現はCOl1およびMYC2依存的であるため、これらはJA情報伝達経路において機能することが示唆された。また、MYL転写因子の三重破壊株mylx3はメチルジャスモン酸(MJ)への応答が促進されており、myc2とは逆の表現型を示すことが明らかになった。MYL転写因子群のターゲット遺伝子を見出すために、mylx3とColの間で発現様式が異なる遺伝子をGeneChip解析により同定した。その結果、MYL1、MYL2、MYL3はジャスモン酸の情報伝達に関わることが知られている転写因子の発現を負に制御していること、さらに、ジャスモン酸類の代謝に関わる遺伝子やアントシアニン生合成遺伝子の発現をも負に制御していることが明らかになった。以上の結果から、MYL1、MYL2、MYL3は、JA情報伝達においてMYC2とantagonisticに機能する転写因子であると考えられる。現在、上記の研究成果を論文投稿中である。
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