2010 Fiscal Year Annual Research Report
学校における教師と他専門職の役割分担の実際―教師の専門性と専門職間の協働の考察
Project/Area Number |
10J40145
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
保田 直美 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 特別研究員(RPD)
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Keywords | スクールカウンセラー / スクールソーシャルワーカー / 教師の専門性 / 専門職の社会学 / 職業的境界 |
Research Abstract |
本研究の目的は、学校現場における教師と他専門職(スクールカウンセラー(SC)とスクールソーシャルワーカー(SSW))の役割分担の実際を明らかにすることである。その上で、他専門職の参入による教師の専門性の変化を考察し、複数の専門職間の協働のあり方について政策的な提言を行いたいと考えている。 今年度はまず、役割分担の実際を明らかにするために、大阪府下のA市とB市でフィールドワークを行った。大阪府は、SCやSSWの配置で先行している自治体であり、中でもA市とB市はその活用を積極的に進めているため、今回調査対象とした。 具体的にはまず、4月から8月にかけて、A市でフィールドワークを行った。A市では主に、SSWの派遣により成果をあげたP小学校で、観察及びインタビューを行った。A市では現在、1名のSSWを市から各校に派遣する形態をとっている。SCは各中学校区に1名ずつ配置されている。ゆえに、小学校にはSCもSSWも常駐していないが、代わりにコーディネーターと呼ばれる教員が、SSWの行う研修を受け、校内で重要な役割を果たしている。P小学校では、SCやSSWではなくまさにこのコーディネーターが中心となって、他専門職を必要に応じて結びつける形で、学校中心の協働が行われていることがわかった。この知見は、9月の日本教育社会学会大会で報告した。 次に、11月から3月にかけて、B市でフィールドワークを行った。B市は、A市と異なり、各中学校区に1名ずつSSWが配置され、さらに各小学校・中学校に1名ずつSCが配置されている。B市でのフィールドワークはまだ途上であるが、これ主でに、B市内の3つの中学校と2つの小学校を訪問し、SSWを中心にインタビューや観察を行った。次年度早々には、教員やSCにもインタビューを行い、それぞれの活動をより多角的に捉え、考察していく予定である。
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