2012 Fiscal Year Annual Research Report
学校における教師と他専門職の役割分担の実際―教師の専門性と専門職間の協働の考察
Project/Area Number |
10J40145
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
保田 直美 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 特別研究員RPD
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Keywords | スクールカウンセラー / スクールソーシャルワーカー / 教師の専門性 / 専門職の社会学 / 職業的境界 |
Research Abstract |
本研究の第一の目的は、学校現場における教師と他専門職(スクールカウンセラー(SC)とスクールソーシャルワーカー(SSW))の役割分担の実際を明らかにすることである。その上で、他専門職の参入による教師の専門性の変化を考察し、複数の専門職間の協働のあり方について政策的な提言を行いたいと考えている。 育児のための中断を挟み、9月から研究再開した今年度は、中断前に大阪府B市の5つの小中学校で収集したデータの分析から開始した。実際の職務分担の様相、意識上の職務分担の様相などを見た結果、SCとSSWの役割については、あくまで活動の中心は教師であることから、役割は相互に排他的なものとしては考えられていないこと、また、常勤であるなどの時間的制約により、事実上教師が問題を分配する大きな権限を担っていること、その結果、実際の職務分担においても、教師は多岐にわたる職務を担っていることが整理された。その成果は10月の日本教育社会学会第64回大会(於同志社大学)で報告した。 11月からは、学会報告の内容に採用1年度目に行った大阪府A市での調査結果も併せて、論文の執筆を開始した。その際欠けているデータを補うために、追加のインタビュー調査もB市で行った。 学会報告での分析の結果、別に新たな自治体でも調査を行う必要が出た。対象となる学校・自治体等との調整の結果、調査実施日が来年度にもずれ込むこととなったため、平成24年度特別研究員奨励費の平成25年度8月までの繰越を行った。平成25年度は、昨年度末からの論文の執筆を継続しつつ、7月~8月を中心に福岡県の自治体でフィールドワークを行った。ある自治体のSSWの活動に同行し、当該SSWと協働するSCにインタビューを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は、学会報告は予定通りできたが、論文を投稿するという目的は果たすことはできなかった。とはいえ、年度末に論文はいったん仕上がっており、受入教官のアドバイスを受け、ブラッシュアップを行った結果、平成25年7月には投稿し、その後掲載に至っている。追加の調査も平成25年度8月までにはおおむね行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
大阪府とは異なる協働の様相が見られると予想し、福岡県で調査を進めようとしたが、結果的に1つの自治体でしか調査を行うことができなかった。議論を深めるためにも、できるだけ違う自治体でも調査を行いたいと考えているので、平成25年度にはさらに別の県にも依頼を進めていきたい。最終年度となるので、協働への提言も含めた論文も執筆していきたい。
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Research Products
(1 results)