2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10J40159
|
Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
横内 由紀恵 (森 由紀恵) 日本女子大学, 文学部, 特別研究員(RPD)
|
Keywords | 日本仏教史 / 中世史 |
Research Abstract |
本研究の目的は、国家のあり方が仏教的価値観で説明されるようになる日本中世成立期の宗教の政治的機能の特色と変遷を、王家の御産・御悩の御祈の特色と変遷を解明しつつ明らかにすることにある。1年目の平成22年度は研究課題の基礎作業中心の研究実施計画をたて、以下の活動を行った。 1.御産・御悩の御祈に関する基礎情報の整理:『大日本史料』などをもとに略年表を作成し、『覚禅鈔』に重要な情報が集約されている事が確認されたため、2.では『覚禅鈔』を中心とした調査・研究発表を行う事とした。 2.聖教史料の調査・蒐集及び研究発表:(1)『大正新脩大蔵経』(以下『大正蔵』)所収『覚禅鈔』の索引作成・研究発表『大正蔵』所収『覚禅鈔』の年号索引・書名索引の作成に着手しほぼ半数が終了した。当初の計画に追加して行った書名索引の作成と考察の結果を東京大学史料編纂所公開研究会において公表した(テーマ「『覚禅鈔』引用典籍にみる教学の構図」)。この結果、『覚禅鈔』成立の背景には中世成立期の宗教と政治の特異な構造が存在する可能性を明らかにすることができた。:(2)『覚禅鈔』諸本の調査 大御堂寺本・千光寺本『覚禅鈔』の調査(東京大学史料編纂所共同研究主催)に参加し、『大正蔵』所収『覚禅鈔』の錯簡及び新出史料の確認をし、学際的に注目される『覚禅鈔』の史料的価値を高めることができた。:(3)他史料の調査・蒐集 中世成立期の密教史料を多数集積する金沢文庫などにおいて御産・御悩の御祈にかかわる史料調査・蒐集を行った。 また、研究計画以外に奈良女子大学古代学学術研究センター例会での研究報告(テーマ「中世成立期の「帝都」観と福原遷都」)及び『東大寺続要録』の史料翻刻を行い、研究課題達成のための新たな道筋を開く事ができた。
|
Research Products
(3 results)