2010 Fiscal Year Annual Research Report
障害のある親の子育てと家族ケアを行なう子どもに関する社会学的研究
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10J40194
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
五十嵐 智子 (澁谷 智子) 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(RPD)
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Keywords | 家族ケアを行なう子ども(ヤングケアラー) / 親子関係 / ケア / 手話 / バイモダル・バイリンガリズム / ライフヒストリー / 語り / 感情労働 |
Research Abstract |
今年度は、「手話で子育ての会」における参与観察やろうの親へのインタビューに基づいて「障害のある親の子育て-聞こえない親の事例から」をまとめ、福祉社会学会での口頭発表と、『相関社会科学』20号への掲載論文(査読付き)とした。さらに、聞こえない親や成人コーダの語りを映像としても撮影し、第41回(平成22年度)三菱財団社会福祉助成を受けて、社会福祉法人聴力障害者情報文化センターと共に、「聞こえない親が聞こえる子を育てるための子育て支援DVD」を作成中である。 社会言語学的視点からは、ろうの親とコーダの親子の家庭での会話を撮影し、手話言語と音声言語による二言語同時発話が可能なバイモダル・バイリンガリズムの会話を分析した。これらは、異文化間教育学会での発表「手話と日本語のバイリンガル家庭-聞こえない親と聞こえる子どもの事例から」と、日本手話学会での発表「子どものコーダとろう親のコミュニケーション-手話と日本語のバイモダル・バイリンガリズムに着目して」にまとめた。聞こえる子どもが声を抑制する現象に注目した分析は、英語論文として、『International Journal of Bilingual Education and Bilingualism』2012年特集号に投稿した(第一査読結果を受けて現在書き直し中)。 2010年7月29日~9月末にはイギリスのラフバラ大学社会科学部に客員研究員として滞在し、「家族ケアを行なう子ども研究班(Young Carers Research Group)」のJo Aldridge氏の指導を受けた。また、イギリスのヤングケアラー支援において主要な役割を果たしている三つの慈善団体(The Children's Society、Princess Royal Trust for Carers、Barnardo's)のキーパーソンへのインタビューを実施した。さらに、レスター州ラフバラ、ハンプシャー州アンドーバー等において、地域のヤングケアラー支援プロジェクトを視察した。 「仕事と家事育児-経済構造と文化規範がズレた時代を生きる私たち」『精神看護』(医学書院)13巻6号では、ケアワークを担うことの多い女性のワーク・ライフ・バランスを論じた。
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Research Products
(6 results)