1999 Fiscal Year Annual Research Report
窒素転流と光合成機能に関わるRubisco分解の分子機構
Project/Area Number |
11151201
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
前 忠彦 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (60134029)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 宏幸 東北大学, 大学院・農学研究科, 助手 (60312625)
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Keywords | Rubisco / 活性酸素 / 断片化 / 光ストレス / 葉緑体 / 酸化ストレス |
Research Abstract |
1.コムギの場合に見出されたのと同じ分子量のRubisco大サブユニットの37kDaフラグメントが、ホウレンソウ、オオムギ、エンドウから単離した葉緑体を同様に処理した場合にも見出された。また、オオムギ及びイネから精製したRubiscoをヒドロキシルラジカル発生系(Fe^<2+>-H_2O_2-ascoribic acid)に曝した場合にも、37kDaフラグメントおよび16kDaフラグメントの出現が認められた。これらの結果は、ヒドロキシラジカルによるRubisco大サブユニットの部位特異的な切断化は,高等植物のRubiscoに共通に見られる現象であることを示唆していた。そこで既報のデーターに基づき切断部位近傍のアミノ酸配列について比較した。Gly-329はいずれの植物種においても保存されていたが、その両端のアミノ酸については、ホウレンソウとオオムギがコムギと同様にSとTで、エンドウはAとT、イネはAとAであった。現在、オオムギ、エンドウ、イネのそれぞれのフラグメントの末端アミノ酸についての同定を行っている。 2.葉緑体ストローマ酵素のGS2も光照射下の葉緑体およびその破砕液中で部位特異的に断片化されることが明白となった。すなわち、単離葉緑体及びその破砕液を光照射下におくと、GS2はRubisco同様、部位特異的に断片化された。そしてこの断片化は、、金属キレーターのEDTA,1,10-phenanthrolineにより完全に阻害され、セリンプロテアーゼ、アスパルティックプロテアーゼ、システインプロテアーゼに対する阻害剤によっては阻害されなかった。また活性酸素のスキャベンジャーでは、カタラーゼ、n-propyl gallateが顕著な阻害効果を示した。さらにこの断片化は、GSの阻害剤で酵素に強固に結合するmethionine sulfoximine(MSX)により完全に阻害された。これらの結果は、我々がRubiscoで見出した結果と全く同様であり、GS2が相同の機構により断片化されていることを強く示唆している。
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[Publications] Ishida,H.: "Fragmentation of the large subunit of ribulose-1,5-bisphosphate carboxylase by active oxygen species occurs near Gly-329"J.Biol.Chem.. 274(8). 5223-5226 (1999)
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[Publications] 前忠彦: "Rubiscoは光合成に対して過剰存在するか?"化学と生物. 37(2). 113-114 (1999)
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[Publications] 石田宏幸: "光ストレスとRubiscoの分解"化学と生物. 38(1). 8-9 (2000)
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[Publications] Makino,A.: "Photosynthesis and plant growth at elevated levels of CO_2"Plant Cell Physiol. 40(10). 999-1006 (1999)
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[Publications] 前忠彦: "生物学データー集"朝倉書店 金井龍二他編(印刷中). (2000)
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[Publications] Mae,T.: "Leaf senescence and nitrogen metabolism. In "Programmed Cell Death and Related Processes""Ed.by Nooden,L.,Academic,Press New York(印刷中). (2000)