1999 Fiscal Year Annual Research Report
微小管モーターとその変異体を用いた分子モーター作用機構の階層論的研究
Project/Area Number |
11156219
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
太和田 勝久 九州大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20029507)
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Keywords | 分子モーター / 微小管 / キネシン / NCD / 揺らぎ解析 / 歩行モデル |
Research Abstract |
野性型の分子モーターは、細胞骨格繊維と相互作用すると、そのATP分野が活性化され、繊維の一方向性の滑り運動を生じる。分子モーターの或る変異体は、野性型分子モーターと同様にATP分解は繊維によって活性化されるが、繊維の一方向の滑り運動を起こすことが出来ず、繊維の一次元的な「双方向性」のランダム運動を起こす。これらの変異体によって生じる繊維の一次元的ランダム運動を非線型動力学的解析法などを用いて詳細に解析することにより、野性型分子モーターにあって、これらの変異体モーターに欠けているメカニズムを見いだし、分子モーターが活性化型ATP分解に共役して「一方向性」の滑り力を発生する仕組みの解明を目指すのが本研究の目的である。 1.上記の特徴をもつ変異体分子モーターとして、微小管モーターの一つであるNCDの、柄部の短い変異体MC5を本研究で用いる。当初、大腸菌で発現して得たGST-MC5という融合タンパクからスロンビン処理でMC5を切り出したが、分子量的に少し異なる2種類のMC5を得た。スロンビンが融合タンパクの異なる2か所を切断するからであることがわかった(以上昨年度までに判明したこと)。そこで、単一分子量のMC5を得るために、大腸菌でMC5を直接発現することにした。あたらしくpET-MC5を構築し、MC5を大腸菌で発現させることに成功した。ただし、発現量はまだ少ない。今後、よりよい発現条件を探す必要がある。 2.上記の研究に関して理論的研究も行っている。微小管モーターの歩行モデルの構築とその計算機シミュレーションである。歩行モデルを改良することにより、張力クランプ条件下におけるキネシン単分子の微小管上の滑り運動の特徴(Blockらの報告、'99)をすべて再現できた。たとえば、滑り速度のATP濃度依存性のKmが張力に依存することも再現できた。
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[Publications] Imafuku,Y.,Emoto,Y.,Tawada,K.: "A Protein friction model of the actin siiding movement generated by myosin in mixtures of MgATP and MgGTP."J.Theor.Biol.. 199. 359-370 (1999)
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[Publications] Ichikawa,T.,Imafuku,Y.,Tawada,K.: "Synchronous firing patterns of aset of insect neurosecretory cells"Neuroscience Letters. 264. 85-88 (1999)
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[Publications] 太和田勝久、今福泰浩: "分子モーターの滑り速度とタンパク質分子摩擦"トライボロジスト. 45. 138-144 (2000)