1999 Fiscal Year Annual Research Report
パーキンソン病患者脳内神経細胞の破壊とボルナ病ウイルス感染
Project/Area Number |
11157215
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
生田 和良 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (60127181)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 悦郎 北海道大学, 免疫科学研究所, 助教授 (00160903)
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Keywords | ボルナ病ウイルス / パーキンソン病 / 神経疾患 / トランスジェニックマウス / スナネズミ / リン酸化蛋白 |
Research Abstract |
ボルナ病ウイルス(BDV)は神径細胞親和性のマイナス鎖、一本鎖のRNAウイルスで、これまでに少なくとも6遺伝子が同定されている。感染細胞には、p40(ヌクレオプロテイン)とp24(リン酸化蛋白)が主要ウイルス蛋白として検出されるが、ウイルス粒子にはp40蛋白が主要で、p24蛋白はほとんど倹出されない。 BDVは、ウマに脳炎症状を引き起こすウイルスとして分離された。ヒトにおいては、精神疾患患者とBDV感染との関連性が指摘されている。私たちはこれまでに、パーキンソン病(PD)患者の剖検脳(黒質領域)において、BDV感染が高率(9例中6例)に認められることを初めて見いだした。また、陽性であった6例中の4例において、新生仔スナネズミ脳内へのBDV伝播が可能であった。本研究では、PD病態におけるBDVの関与の可能性を検討した。 BDVを脳内接種した新生仔スナネズミにおいて、接種BDVの感染価依存的にBDV脳内伝播が激しく、歩行異常等の症状後、死亡するまでの時間も速く経過した。接種したBDVの感染価にかかわらず、脳幹部でBDVが検出できる時期にほぼ一致して神経症状が観察された。このBDV接種スナネズミでは、抗p40抗体はほとんど検出されずに抗p24抗体が検出された。 さらに、p24遺伝子をGFAP、ヒトセロトニン受容体遺伝子プロモーターの下流に導入することにより、脳内でp24蛋白を発現するトランスジェニックマウスを作出したところ、一部の系統で神経症状(首振りや歩様異常など)が認められ、BDV発現が海馬や小脳において認められた。 以上、脳内の特定部位へのBDV持続感染が成立し、p24が発現することが神経症状出現へと導く可能性が示唆された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Kohno, T., Ikuta, K., et. al.: "Fine structure and morphogenesis of Borna disease virus (BDV)"J. Virol.. 73. 760-766 (1999)
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[Publications] Nakaya, T., Ikuta, K. et. al.: "Borna disease virus infection in two family clusters of patients with chronic fatigue syndrome"Microbiol. Immunol.. 43. 679-689 (1999)
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[Publications] Hagiwara, K., Ikuta, K., et. al.: "A sulfated chitin inhibits hemagglutination by Theileria sergenti merozoites"Carbohydrate Polymers. 39. 245-248 (1999)
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[Publications] Nakamura, Y., Ikuta, K. et. al.: "High susceptibility of Mongolian gerbil (Meriones unguiculatus) to Borna disease virus"Vaccine. 17. 480-489 (1999)
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[Publications] Nakamura, Y., Ikuta, K. et. al.: "High prevalence of Borna disease virus in domestic cats with neurological disorders in Japan. Vet."Microbiol. 70. 153-169 (1999)
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[Publications] Zheng, Y. H., Ikuta, K. et. al.: "Replication Ability in vitro and in vivo of equine infectious anemia virus avirulent Japanese strain"Virology. 266. 129-139 (2000)