1999 Fiscal Year Annual Research Report
T・Bリンパ球の分化方向決定に遺伝的異常を示すマウス
Project/Area Number |
11162205
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
高濱 洋介 徳島大学, ゲノム機能研究センター, 教授 (20183858)
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Keywords | Tリンパ球 / Bリンパ球 / 細胞分化 / ゲノム変異 / 免疫不全 / 系譜決定 |
Research Abstract |
T・Bリンパ球の分化系譜決定の分子機構を解明する材料として、トランスジーン挿入によってT・Bリンパ球の分岐に異常をきたした変異マウスを開発した。ヒトCD3-epsilonトランスジェニックマウスの1系統tge26では胸腺に移住した前駆細胞はTリンパ球へと分化せず、そのかわりにBリンパ球へと成熟してしまい、その結果、Tリンパ球特異的免疫不全を発症する。この異常は同じコンストラクトで作製された他のトランスジェニックマウス系統では見られなかったことや、tge26にて導入されたトランスジーンコピー数がとりわけ他の系統に較べて突出していなかったことなどから、tge26マウスでの胸腺前駆細胞のT・B系譜異常は、トランスジーン挿入による系統特異的ゲノム異常によると考えられた。トランスジーン挿入部位はFISH法により、17番染色体のA2-B位の1カ所に特定されたので、tge26マウスのゲノムDNAを平滑末端制限酵素で切断しligation-mediated PCR法によってトランスジーン挿入ゲノム端約2kbのDNA断片を得た。この配列は正常マウスのゲノムDNAにも存在する配列であり、しかし一方、データベースとして公表されている既知の配列とは一致しなかった。そこでT・Bリンパ球の分化系譜決定を担う分子の特定に向けて現在、正常マウスゲノムDNAライブラリのスクリーニングを進めることによって当該ゲノム配列近傍のコーディング領域の同定を目指している。
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[Publications] Kaneta,M.,et al.: "A role for pref-1 and HES-1 in thymocyte development"J.Immunol.. 164. 256-264 (2000)
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[Publications] Apostolou,I.,et al.: "Murine natural killer T cells contribute to the granulomatous reaction caused by mycobacterial cell walls"Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 96. 5141-5146 (1999)
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[Publications] 菅原剛彦ら: "クローン選択を運命づけるMAPキナーゼカスケード"臨床免疫. 31. 260-264 (1999)
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[Publications] 高浜洋介: "Tリンパ球分化の分子機構"臨床免疫. 32. 207-214 (1999)
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[Publications] 高浜洋介: "培養系でのT細胞の選択"組織培養工学. 26. 74-75 (2000)
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[Publications] 高浜洋介: "T細胞抗原受容体シグナルによる細胞運命の分岐"細胞工学. 19. 214-220 (2000)
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[Publications] Spain,L.M.,et al.: "Developmental Biology Protocols Vol.2."Retroviral infection of T cell precursors in thymic organ culture (In press). (2000)
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[Publications] Takahama,Y.: "T Cell Protocols. Development and Activation"Differentiation of mouse thymocytes in fetal thymus organ culture. 37-46 (1999)