1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11166250
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
時任 宣博 九州大学, 有機化学基礎研究センター, 教授 (90197864)
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Keywords | 立体保護 / ジシリン / ジリチオシラン / シラシクロプロパベンゼン |
Research Abstract |
本研究は立体保護を用いて新規高反応性化学種を安定な化合物として合成単離し、その性質を理論計算を併せ用いてることにより解明することを目的とする。本年度は、申請者らがこれまで種々の高反応性化学種の安定化に応用してきた有用な立体保護基である2,4,6-トリス[ビス(トリメチルシリル)メチル]フェニル基(Tbt基と略)を活用して、1)未だ合成例のない化学種であるケイ素-ケイ素三重結合化合物の合成、および2)新規な含ケイ素高歪み化合物であるシラシクロプロパベンゼンの合成について検討を行った。 1)TbtLiとSiF_4との反応により得られるTbtSiF_3をLiAlH_4還元してTbtSiH_3を合成した後、その部分的塩素化を行ってTbtSiH_2Clを合成した。これをNa/K合金を用いて還元的に縮合し、かさ高いジシラン(TbtSiH_2SiH_2Tbt)を合成した。今後はこのジシランを徹底ハロゲン化によりテトラハロジシラン(TbtSiX_2SiX_2Tbt)へと導き、続いてこの前駆体を各種アルカリ金属やリチウムナフタレニドなどを用いて還元的に脱ハロゲン化することで目的のジシリン(TbtSiΞSiTbt)を合成する予定である。 2)Tbt基と2,6-ジイソプロピルフェニル(Dip)基とを有するジブロモシラン[Tbt(Dip)SiBr_2]の過剰量のリチウムナフタレニドを用いた徹底還元反応により合成したジリチオシラン[Tbt(Dip)SiLi_2]とo-ジブロモベンゼンとを反応させることで、目的のシラシクロプロパベンゼン1を得た。1についてX線結晶構造解析によりその分子構造を詳細に検討したところ、シクロプロパベンゼン骨格が理論計算により求められた母核のシラシクロプロパベンゼンの構造とほぼ等しいこと、シラシクロプロパン環とベンゼン環が同一平面上にあること、ベンゼン環内の6個の炭素-炭素結合長がほぼ等しいこと、そしてシクロプロパベンゼン骨格よりも歪みが小さいことが明らかとなった。
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[Publications] Norihiro Tokitoh: "New Aspects in the Chemistry of Multiple-bonds to Heteroatoms"Pure&Appl.Chem.. 71. 495-502 (1999)
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[Publications] Norihiro Tokitoh: "Generation and Reactions of an Overcrowded Diaryldilithiosilane"Chem.Lett.. 1999. 931-932 (1999)
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[Publications] Norihiro Tokitoh: "The Chemistry of Germanium-containing Heavy Ketones"Bull.Chem.Soc.Jpn.. 72. 1665-1684 (1999)
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[Publications] Tsuyoshi Matsumoto: "The First Kinetically Stabilized Germanethiones and Germaneselones:Syntheses,Structures,and Reactivities"J.Am.Chem.Soc.. 121. 8811-8824 (1999)
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[Publications] Keiji Wakita: "Synthesis of Stable 2-Silanaphthalenes and Their Aromaticity"J.Am.Chem.Soc.. (1999)
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[Publications] Keiji Wakita: "Synthesis and Properties of an Overcrowded Silabenzene Stable at Ambient Temperature"Angew.Chem.Int.Ed.. 39. 634-636 (2000)