1999 Fiscal Year Annual Research Report
光エネルギーを用いた体外からの選択的中枢神経伝達抑制法
Project/Area Number |
11170254
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Research Institution | Osaka Bioscience Institute |
Principal Investigator |
片岡 洋祐 財団法人 大阪バイオサイエンス研究所, 第3研究部, 研究員 (40291033)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
崔 翼龍 財団法人 大阪バイオサイエンス研究所, 第3研究部, 研究員 (60312229)
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Keywords | 光酸化 / 光増感色素 / HRP / 近赤外レーザー / 脳 / 神経伝達 / ATP |
Research Abstract |
脳内では複数の神経ネットワークが同時進行ではたらき、複雑な情報処理を行っている。それらの情報処理を担っている各神経ネットワークを組織外あるいは体外から遮断し、情報が統合される様を描出する手段として、光酸化法と近赤外波長レーザー法を確立してきた。平成11年度の研究計画としては、光酸化法における光増感色素とHRPタンパクとの結合物を作製し、色素を特定の神経終末だけに運ぶ方法の確立(研究実施計画1)、近赤外波長レーザー法では多光源化を行って、より正確に神経遮断領域を設定し(研究実施計画2)、さらに本レーザー照射による神経伝達抑制機構を解明するため、細胞内代謝に対する影響を追跡すること(研究実施計画3)を挙げた。研究実施計画1としては光増感色素(Azure C)をHRPに過ヨウ素酸法にて結合させ、結合物をラット線条体内各領域へ投与した結果、投与領域から神経投射に沿って黒質内軸索終末へ運搬させることに成功した。今後、本結合物を投与し、選択的、可逆的シナプス伝達抑制を実現するための適切な照射強度・時間を探りたい。また、研究実施計画2としては、2本の光ファイバーから近赤外レーザーを照射することによって、より組織深部の照射領域の正確な設定ができつつある。現在、照射されたレーザー光の脳組織内での強度分布をシュミレーションし、より正確な照射領域及び照射強度の設定が行えるよう照射装置を改良中である。さらに研究実施計画3において、レーザーの細胞内代謝に与える影響を追跡した結果、細胞内ATP濃度が照射領域で数倍に増加することがわかった。しかしパッチクランプ法を用いて細胞内ATP濃度上昇と神経伝達効率との関係を調べた結果、細胞内ATP濃度上昇はナトリウムチャネル機能には直接影響を与えないことが判明した。現在、カリウムチャネル等、他のイオンチャネルや静止膜電位等への影響を解析中である。
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