1999 Fiscal Year Annual Research Report
自動計算による電子・陽子衝突実験のための物理シミュレーション
Project/Area Number |
11206203
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (B)
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Research Institution | The High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
栗原 良将 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助手 (50195559)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 潔 工学院大学, 工学部, 教授 (50152707)
藤本 順平 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助手 (90202291)
石川 正 高エネルギー加速器研究機構, 計算科学センター, 助教授 (90184481)
近 匡 成蹊大学, 工学部, 講師 (90215442)
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Keywords | 電子・陽子衝突実験 / HERA実験 / 自動計算 / GRACEシステム / 標準模型 / 超対称性理論 / イベント・ジェネレーター |
Research Abstract |
標準模型に関しては、電子・陽子散乱によるレプトン対生成反応のイベント・ジェネレーターであるGRAPEを東京大学の阿部哲朗氏と共に作成した。このジェネレーターは、我々のグループが開発した、自動生成システムGRACEを用いて生成した散乱振幅を基礎としており、電子・陽子の準弾性散乱、非弾性散乱、及び共鳴散乱によるレプトン対生成反応を取り扱うことができる。これにより、従来までの限られたファインマン図のみ用いた近似計算ではなく、正確な散乱振幅に基づいた計算が可能となり、実験解析の信頼性に大きく貢献した。 超対称性模型に関しては、Rパリティを破る効果を通して生成される、スカラー・チャーム生成のイベント・ジェネレーターを作成した。この反応は、終状態が6粒子状態となるため、全ファイマン振幅を取り入れた計算は不可能であるので、狭崩壊幅の近似を用いた計算を行った。ただし、従来のようにスカラー・チャーム生成と崩壊を独立に行うのではなく、崩壊過程で現れるベクトル粒子のスピンの相関を正確に取り扱う方法によって行った。これにより、最終生成粒子の運動量や角分布を精度良く計算できるようになった。 さらに、これらの反応の輻射補正の方法として、QED過程に於けるパ-トンシャワー法(QEDPS)の開発を行った。これは、従来電子・陽電子消滅反応の輻射補正のために開発されたものであるが、この方法を電子・陽子散乱に応用すべく改良を行った。この方法の精度を確認するために、まず電子・陽電子散乱の二光子反応に応用した計算を行った。この反応は、輻射補正の構造がよく知られており、また片側の荷電粒子を陽子に置き換えれば、電子・陽電子散乱へ応用することができる。この研究の結果、パートンシャワー法はその中に含まれるエネルギースケールを正しく決めてやれば、正確な輻射補正の結果を1%以下の精度で再現できることが確認された。これにより、電子・陽電子散乱反応のQED輻射補正を精度よく行うことが確立された。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] T.Matsushita, T.Abr, S.Kitamura, T.Kobayashi, T.Kon: "Stop and sbottom production at HERA"Proceedings of workshop (1998/1999) on "Montecarlo Generators for HERA physics", DESY 1999.. (1999)
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[Publications] Y.Kurihara, V.Lafage, T.Kon: "A scalan charm production and its decay at HERA"Proceedings of workshop (1998/1999) on "Montecarlo Generators for HERA physics", DESY 1999.. (1999)
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[Publications] T.Abe, J.Fujimoto, T.Ishikawa, K.Kato, Y.Kurihara, T.Watanabe: "A Generator for Dilepton Prodection in ep Collisions"Proceedings of workshop (1998/1999) on "Montecarlo Generators for HERA physics", DESY 1999.. (1999)
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[Publications] Y.Kurihara, J.Fujimoto, T.Ishikawa, Y.Shimizu, T.Munehisa: "(grcvvg) Event gerator for the singl photon and double photon emission associated with neutrino pair production"Compt.Phys. Commu.. (掲載決定).
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[Publications] T.Munehisa, J.Fujimoto, Y.Kurihara, Y.Shimizu: "A QED shower including the next-to-leading logarithm correction in e^+e^- annihilation"Progr.Theor. phys.. (掲載決定).