2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11301005
|
Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
田巻 松雄 宇都宮大学, 国際学部, 教授 (40179883)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲月 正 北九州大学, 外国語学部, 助教授 (00232512)
稲葉 奈々子 茨城大学, 人文学部, 助教授 (40302335)
中根 光敏 広島修道大学, 人文学部, 教授 (40212089)
文 貞実 中部学院大学, 人間福祉学部, 助教授 (20301616)
野村 浩也 広島修道大学, 人文学部, 助教授 (70269984)
|
Keywords | 寄せ場 / 野宿 / ホームレス / 日雇労働 |
Research Abstract |
本研究は、(1)今日の寄せ場の存在形態と関連する諸問題の実態分析、(2)寄せ場の変容の意味解釈と今日の寄せ場像の再構成、を主要な目的とする寄せ場研究として、東京の山谷と大阪の釜ヶ崎を中心しつつ、フィールドワークと理論的な検討を行ってきた。従来の寄せ場に関する諸研究との大きな違いは、日本の寄せ場相互の比較および寄せ場の国際比較という「比較」の視点を盛り込んでいることにある。また、寄せ場に関連する諸問題の実態分析としては、特に「東京のホームレス問題」に焦点をあてた。この作業は、グローバル都市におけるホームレス問題の国際比較を意図しており、東京におけるホームレスの個性・特徴を抽出すること、東京のホームレスの基底的な存在条件を寄せ場および下層労働市場論の観点からグローバリゼーションという枠組みに繋げて検討すること、東京におけるホームレス問題の性格をかれらの生活実態と政策の関係を軸に捉えて分析することを目的にしたものである。 最終年度にあたる本年度は、以上の諸課題に対する研究成果を全体的に検討する作業を進め、寄せ場の縮小は日雇下層労働市場の減少を必ずしも意味せず、むしろグローバリゼーションとも関連しあいながら日本の産業構造の大きな変容を反映する現象であること、寄せ場の今日的な形態とホームレス問題の具体的な現出は公共空間の管理や下層労働力動員に対する各自治体行政の政策によって大きく異なっていること、などいくつかの重要な論点を整理できた。ただし、厚生労働省がこの2月に行ったホームレスの全国実態調査の結果を分析に盛り込みたい、諸外国のグローバルと都市におけるホームレス問題の状況についての情報収集をもう少し行いたいなどいくつかの理由があり、最終成果報告書の刊行は延期した。なお、全体質疑のため予定していた外国人研究者の招聘は、日程の調整がつかず、行えなかった。
|