1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11307026
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
|
Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
石井 清一 札幌医科大学, 医学部, 教授 (20001000)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 卓郎 札幌医科大学, 医学部, 講師 (00244369)
|
Keywords | 骨肉腫(osteosarcoma) / 血管新生誘導因子(VEGF) / チロシンキナーゼ受容体蛋白(ErbB2) / 接着因子インテグリン(α5サブユニット) / 肺転移(lung metastasis) / 予後(prognosis) |
Research Abstract |
1.骨肉腫原発巣における血管新生誘導因子(VEGF)の発現と肺転移との関係を検討した。初診時肺転移のない骨肉腫27例の原発巣におけるVEGFの発現を抗VEGF抗体を用いた免疫染色法で検索した。VEGF陽性17例中14例(82%)で肺転移が発生した。一方、VEGF陰性10例中肺転移発生は1例(10%)のみであった。骨肉腫がVEGFを産生し、腫瘍内血管が誘導され肺転移が促進されると考えられた。 2.ErbB2は細胞膜表面に存在するチロシンキナーゼ受容体蛋白である。昨年、我々は初診時転移のない骨肉腫では、ErbB2の過剰発現は予後良好因子になりうることを報告した。今回はその仮説を裏付けるため、原発巣と肺転移巣が同時に得られた骨肉腫患者19例について、ErbB2の発現を検索した。ErbB2の発現は抗ErbB2モノクローナル抗体CB11を用いた免疫染色で判定した。ErbB2は発原巣19例中6例、肺転移巣では2例で陽性であった。原発巣のErbB2陽性の6例では、肺転移巣のErbB2は陰性化していた。骨肉腫ではErbB2の陰性化が肺転移発生に関与し、予後不良につながることを示唆していた。 3.骨肉腫の肺転移に接着分子インテグリンのどのサブユニットが関与しているかを検討した。過去の我々の研究により、インテグリンα1-α6、β1の各サブユニットの発現の有無が明らかになっている骨肉腫13例を対象とした。各インテグリンの発現と肺転移発生の有無を平均69カ月にわたって観察した。α5サブユニットを発現している症例は、肺転移の発生頻度が有意に小さかった。α5を発現している骨肉腫細胞は、原発巣からの遊離が起こりにくいため肺転移の発生頻度が低いと考えられた。
|
Research Products
(16 results)
-
[Publications] 和田 卓郎: "上肢病的骨折の治療"関節外科. 19. 78-82 (2000)
-
[Publications] Wada,T.: "Reconstruction and limb salvage after resection for malignant bone tumor of the proximal humerus."J.Bone Joint Surg.. 81-B. 808-813 (1999)
-
[Publications] Wada,T.: "64-year-old male,myxofibrosarcoma of the right forearm"Modern surgical challenges for musculoskeletal sarcoma. 11. 18-29 (1999)
-
[Publications] Aoki,N.: "Potentiation of anti-tumor immune responses by introduction of B7 genes into tumors."Gann Monograph on Cancer Research. 48. 139-149 (1999)
-
[Publications] 渡邉 耕太: "下肢悪性腫瘍に対するKotz下肢再建システムの術後成績"関節外科. 18. 588-594 (1999)
-
[Publications] 川口 哲: "軟骨肉腫の治療成績:後期死亡群の臨床的特徴"骨・関節・靭帯. 12. 809-814 (1999)
-
[Publications] 和田 卓郎: "Saddle prosthesisによる骨盤部腫瘍の再建法"関節外科. 18. 62-66 (1999)
-
[Publications] 赤塚 智博: "骨肉腫におけるErbB receptor familyの発現"日本整形外科学会雑誌. 73. S1385 (1999)
-
[Publications] 赤塚 智博: "骨肉腫の肺転移巣におけるErbB-1および2の発現"日本整形外科学会雑誌. 73. S1922 (1999)
-
[Publications] 和田 卓郎: "血管柄付き腓骨移植を用いた小児の患肢温存術の長期成績"日本整形外科学会雑誌. 73. S1143 (1999)
-
[Publications] 加谷 光規: "線維肉腫細胞の悪性化進展におけるets群癌遺伝子E1Afの役割"日本整形外科学会雑誌. 73. S1238 (1999)
-
[Publications] 加谷 光規: "大腿骨頚部発生Fibrous dysplasisの検討"日本整形外科学会雑誌. 73. S1255 (1999)
-
[Publications] 井田 和功: "Extraskeletal myxoid chondrosarcomaの治療経験"日本整形外科学会雑誌. 73. S1342 (1999)
-
[Publications] 川口 哲: "軟骨肉腫における組織学的悪性度の変化"日本整形外科学会雑誌. 73. S1430 (1999)
-
[Publications] 川口 哲: "活性化Tリンパ球のAICD(Activation-Induced Cell Death)抑制による抗腫瘍免疫の増強"日本整形外科学会雑誌. 73. S1508 (1999)
-
[Publications] 長森 正史: "接着分子B7-1a導入による抗骨肉腫腫瘍免疫の誘導:B7-1導入細胞との比較検討"日本整形外科学会雑誌. 73. S1509 (1999)