2000 Fiscal Year Annual Research Report
地球温暖化が昆虫類の生存や絶滅、地理的分布に及ぼす影響
Project/Area Number |
11308021
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
湯川 淳一 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授 (80041622)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多田内 修 九州大学, 大学院・農学研究院, 助教授 (10150509)
加藤 内蔵進 岡山大学, 教育学部, 助教授 (90191981)
鈴木 英治 鹿児島大学, 農学部, 教授 (10128431)
緒方 一夫 九州大学, 熱帯農学研究センター, 助教授 (40224092)
矢田 脩 九州大学, 大学院・比較社会文化研究院, 助教授 (80038489)
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Keywords | 地球温暖化 / 昆虫類 / 絶滅 / 地理的分布 / 植食性昆虫 / フェノロジー / 捕食寄生者 / 北進 |
Research Abstract |
平成13年2月に桐谷圭治博士(農水省名誉研究員)を招いて講演会と研究分担者による研究報告会を開催し、傾向加藤内蔵進氏による「温暖化や異常気象に関連した東アジアの気象解析」によって報告された初冬の晩秋化・冬季の積雪量の減少などを参考に、以下のような結果をとりまとめた。虫えい昆虫であるシロダモタマバエは寄主植物への産卵部位は、タマバエの選好性よりも寄主植物とのシンクロナイゼーションを大きく影響を受けていることが明らかとなった。温暖化によって産卵部位がより樹冠部へ移動していき、分布域の北限では産卵が不可能となることが予測された。また、ナラ類の集団枯死をもたらすカシノナガキクイムシでは、近年の温暖化によって垂直分布が上方へ移動し、それまで利用することのなかったミズナラを寄主として利用することができるようになり、近年のような集団枯死を招いているものと推測された。この他、ヒートアイランド現象による都市部によるニホンミツバチやアルゼンチンアリの増加傾向、メッシュ気候図を用いたヤシオオオサゾウムシの分布範囲の拡大予測、南方系チョウ類の九州における定着傾向、アブラムシに対する変温環境の影響、温暖化にともなう異常気象による昆虫類の行動への影響予測、ミカンーカイガラムシー寄生蜂系への気温と降水の影響について温暖化との関連を考察した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Junichi JUKAWA: "Synchronization of gallers with host plant phenology"Popul.Ecol.. 42. 105-113 (2000)
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[Publications] 加藤賢隆,江崎功二郎,井下田寛,鎌田直人: "カシノナガキクイムシのブナ科樹種4種における繁殖成功度の比較(予報)"中部森林研究. 49(印刷中). (2001)
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[Publications] 鎌田直人: "群集生態学の現在"佐藤宏明,山本智子,安田弘法 編(印刷中).