2000 Fiscal Year Annual Research Report
肝細胞-伊東細胞混合培養系を基盤とする有極性化学プラント型人工肝臓の開発
Project/Area Number |
11308036
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
石井 裕正 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (20051500)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤池 敏宏 東京工業大学, 生命理工学部, 教授 (30101207)
末松 誠 慶應義塾大学, 医学部, 助教授 (00206385)
鈴木 秀和 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (70255454)
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Keywords | 人工肝 / 肝細胞 / 伊東細胞 / 幹細胞 / マトリックス / アポトーシス / 細胞移植 / マイクロファブリケーション |
Research Abstract |
肝灌流系の生体顕微鏡的観察より、肝小葉内の酸素分布に対応した障害分布を検討し、肝細胞機能に及ぼす胆汁分泌の重要性や伊東細胞の形態変化が類洞血流を調節することを解明した。赤池らは、培養肝細胞の増殖と分化機能について、接着基質上での細胞応答の検討を行い、アシアロ糖タンパク質をモデル化した人工基質PVLAのコーティングで、培養肝細胞の接着形態が変化し、増殖能と分化能も相反的に変化した。そこで、増殖能と多分化能のある細胞として株化した骨髄幹細胞を用いた検討を行った。つまり、C3Hマウスに部分肝切除を施し肝再生を惹起した後に、このマウスの脾臓あるいは下大静脈にレトロウイルスベクターを用いGFP標識したマウス骨髄間葉系幹細胞(KUM2)を局注し、肝再生部位の病理組織所見とGFP免疫染色の肝内分布の相関を検討し、GFP陽性細胞の肝内への集積を確認した。しかし、この肝小葉内の分布形式は一定ではなく、GFP陽性細胞数も非常にわずかであるため、組織ブロック全体でのPCR法では検出されなかった。これにより、豊富に存在する自己骨髄細胞の応用で人工肝に必要な莫大な細胞ソースを確保できる可能性が開けた。一方、他の肝再生モデルとしてacetoaminofluoride(AAF)錠の皮下埋め込み持続浸透モデルで、肝再生を化学的に抑制した状態で、KUM2を脾臓内注入したが、肝内にGFP陽性細胞の存在は認められなかった。 伊東細胞は肝臓における最大の脂肪貯蔵細胞であり、人工肝臓の脂肪沈着による機能不全を防止するために混合するべきであると考えられる。そこで、株化線維芽細胞(RatJ2)や株化伊東細胞を用い初代培養肝細胞と混合培養を行った結果、どちらの細胞を用いても肝細胞の比率を下げるほどに機能は保持され、培養40日までアルブミン産生は認められた。また、集積回路作製に用いられるマイクロファブリケーション技術を用いて肝細胞を100um径の島に限局させ、その間を線維芽細胞や伊東細胞で囲むようにすると肝細胞比率を上げることができ、この時アルブミン産生は49日まで保持された。肝細胞を限局させる島の直径は100umが最小で、機能維持も最もよく、直径を大きくするとアルブミン産生は減少し、特に島中央部に局在し、他の細胞種と接触できない肝細胞からのアルブミン産生能は著明に減少した。このように初代培養肝細胞と間葉系細胞との混合培養法を樹立し長期間の培養においても特異的肝機能を維持させることができた。しかし、将来的には患者血液を灌流することになる、この混合培養系では、培養伊東細胞自体の血清中での安定生存が必須である。この点について検証するために、ラット分離伊東細胞(RI-T)の培養を100%-FBS存在下で行い、経時的に細胞数の変化をMTT assayにて検討した。これによると、本来、指数関数的に増加するべき細胞数は、100%-FBS存在下にて急速に減少した。このことは、特にアシドーシスの進行した肝不全患者血液を直接、伊東細胞に暴露することは脂肪除去フィルター機能を発揮する以前に細胞死に陥ってしまう可能性を示唆しておりフィルターの応用などの混合培養系の構造の工夫が必要であることが考えられた。 また、肝細胞の分化機能を誘導するための培養液も検討し、アミノ酸組成を変換したNAIR-1などによる分化マーカーの出現についても検討した。NAIR-1における培養では、GFP/CMGの細胞数の増加は緩やかとなったが、分化マーカーの一つとしての微量アルブミンの産生には至らなかった。今後、高感度マーカーの追跡や混合比の調整が必須と考えられる。
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[Publications] Toda,K.,Ishii,H. et al.: "Induction of hepatic stellate cell proliferation by LPS-stimulated peripheral blood mononuclear cells from patients with liver cirrhosis."Journal of Gastroenterology. 35. 214-220 (2000)
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[Publications] Saito,Y.,Ishii H. et al.: "Expression of mRNA for DNA methyltransferases and methyl-CpG-binding proteins and DNA methylation status on CpG islands and pericentromeric satellite regions during human hepatocarcinogenesis."Hepatology. 33. 561-568 (2001)
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[Publications] Kitchin,K.T.,Suematsu,M. et al.: "An ELISA assay for heme oxygenase (HO-1)."Journal of Immunological Methods. 247(1-2). 153-161 (2001)
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[Publications] Suematsu,M.and Ishimura,Y.: "The heme oxygenase-carbon monoxide system : a regulator of hepatobiliary function."Hepatology. 31(1). 3-6 (2000)
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[Publications] Mayer,J.,Akaike,T. et al.: "Matrices for tissue engineering-scaffold structure for a bioartificial liver support system."Journal of Control Release. 64(1-3). 81-90 (2000)
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[Publications] Watanabe,Y.,Akaike,T. et al.: "Functional evaluation of poly-(N-p-vinylbenzyl-O-beta-D-galactopyranosyl."Journal of Biomaterials and Scientific Polymers. 11(8). 833-848 (2000)